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「本気で世界を狙う」 モバゲーオープン化、売りは“マネタイズ力”

» 2009年10月05日 21時21分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 南場社長

 「本気で世界を狙いたい。やるからにはナンバーワンを目指す」――ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子社長は10月5日、「モバゲータウン」のゲーム開発者向けイベント「モバゲーオープンプラットフォーム Forum2009」でこう意気込んだ。

 SNS上でのゲームAPIのオープン化は、Facebookなど米国のSNSが以前から展開。国内では「mixiアプリ」が先行し、友人同士で楽しむ「ソーシャルゲーム」がヒットしている。モバゲーでも8月にオープン化を表明。外部開発者にゲームを開発してもらい、第1弾を来年1月に公開する予定だ。

 これまで内製中心でゲームを提供してきた同社にとって、オープン化は「大きな決断だった」が、「1人のプレーヤーより多くの人の知恵が勝る。自由に創造する場が必ず最後は勝利する」と、オープン化を決めたという。「ゲームメーカーから、オープン化したら全力でゲームを提供したいという声をもらった」(守安功 最高執行責任者)ことも背中を押した。

 携帯電話向けゲーム運営の豊富ノウハウや、マネタイズ機能、米国や中国の提携先を通じた世界展開がモバゲーの武器。「これまでのソーシャルゲームの盛り上がりはPCが中心だったが、確実に携帯に来る。間違いなく世界的なトレンドになる」――南場社長は携帯ソーシャルゲームの世界展開に、大きな期待をかけている。

広告プラットフォームでマネタイズ支援 収入の7割が開発者に

 mixiやFacebookにはない売りは、自社運営のモバイル広告プラットフォームと、アバター、ユーザー間で活発に流通している仮想通貨「モバコイン」といった、豊富なマネタイズ機能だ。

画像 アバターアイテム販売も

 成果報酬型広告「ポケットアフィリエイト」と、クリック課金広告「ポケットマッチ」などの広告をゲームに組み込めるようにする。ゲームメーカー独自の広告を入れることもできる。

 アバターをゲームに表示できるほか、ゲーム専用アバターアイテムの販売も可能。ゲーム内のパラメーターを変えられるアイテムを、モバコインを使って販売できる。

 広告・課金収入のうち、手数料などを除いた7割を開発者に提供。「モバゲーも、アフィリエイト広告で収益をあげてきた」――広告をうまく活用することで、ゲーム提供企業が収益をあげやすくなると守安氏は強調する。開発資金の相談にも乗るほか、インフラのサポートも検討する。

 パートナー企業は現在も募集中だ。まずは「先行開発パートナー」として開発環境を提供。完成したゲームは、公序良俗に反していないかなど簡単な審査をした上で公開。審査にかかるのは3日程度で、非公開となった場合は理由も通知する。

 第1弾は来年1月に公開する予定だ。ゲーム内でのモバコインの利用やアフィリエイト広告の貼り付けも当初から可能。2月から順次、アバター連動や、クリック課金広告に対応し、3月からは、全パートナーに開発環境を完全開放する。

集客やカスタマーサポートも支援

 集客やカスタマーサポートも支援する。パートナーが開発したゲームは、ゲームのトップページなどで紹介。ユーザー数と課金収入の両面から人気ゲームを評価し、集客していく。目立つ場所で紹介するための有料広告プログラムも提供する。

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 口コミを通じたユーザー拡大も支援。友人がプレイしているゲームを紹介する機能や、友人を招待すればゲームアイテムがもらえる機能などを提供する。メール広告を使った集客も行う。

 カスタマーサポートも支援。ユーザーから問い合わせを受け付けるフォームと、返信するためのシステムを用意する。問い合わせの受け付けを代行する有料サービスも行う予定だ。

 パートナーを支援する一方で、内製ゲームの開発も継続。開発で培ったノウハウは、セミナーなどで提供する予定だ。

「月間1億円稼げる可能性も」と開発パートナー

 イベントには先行開発パートナーとして、ドリコムの内藤裕紀社長や、ハドソン執行役員の柴田真人氏などが参加。内藤社長は、同社が提供するmixiアプリの「通信制 脳力大学-漢字テスト」(75万ユーザー)について、「1日何百万回もプレイされており、ソーシャルゲームの可能性を感じている。日本のユーザーは特に、携帯での課金に慣れていて、100万ユーザーを獲得すれば月間1億円ぐらい稼げる可能性があるかもしれない」とモバゲーの収益力に期待を込めた。

 ハドソンの柴田氏は、「当社が開発してきたコンシュマーゲームは比較的クローズドだが、1500万人のモバゲーユーザーを相手にするサービスが開かれた。大きなチャンスだ」と述べた。

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