大企業も使う個人サービス Twitterまとめ「Togetter」を作る人(1/2 ページ)
「1週間で作りました。Togetter(トゥギャッター)を使って」
ソフトバンクの孫正義社長は、3月28日にTwitterユーザーを招いて行ったイベント「ソフトバンクオープンデイ」でこう話し、会場に集まった約1300人のTwitterユーザーと、Ustreamのライブ配信を視聴していた数万人のユーザーに、「Togetter」の画面を見せた。
Togetterは、複数のつぶやきをドラッグアンドドロップで選び、1画面にまとめられるサービス。自分のつぶやきをまとめたり、他人のつぶやきから面白いものを抜き出してまとめるといったことが可能だ。
孫社長がスクリーンに映してみせたのは、自らがTwitterで、「やります」と宣言した内容についてのまとめ「やりましょう」リストなど。孫社長のつぶやきと、進ちょくに関する関係者のつぶやきを一画面に集約し、進み具合が分かるようになっている。
「まさかのUstream配信!」
「まさかのUstream配信!」――イベントをUstreamで視聴していたTogetter開発者の吉田俊明さん(28)は、突然のTogetter登場に驚き、サーバが落ちないかヒヤヒヤしたという。イベント2日前、ソフトバンクから「Togetterを使わせてほしい」と打診は受けていたが、どう使われるか連絡がないままイベント開始。まさかこんなに大きく紹介されるとは思わなかった。
その直後、Togetterにアクセスが殺到して利用しづらい状態なり、仮想サーバのプラン上限まで増強してなんとか対応した。「人生でこんなに驚いたことはないってくらいの1日になりました」――その日に投稿したツイートで、吉田さんは驚きと、孫社長への感謝をつづっている。
最近では、Yahoo!ニュースに配信された記事に、関連情報としてTogetterへのリンクが掲載されることも増えてきた。例えば、Xperiaの紹介記事に、「Xperiaに関するTwitterまとめ」として、Xperiaタグの付いたTogetterまとめが一覧表示される――といった具合。Twitterユーザーのつぶやきは、Togetterを通じてまとめられることによってひとかたまりの情報となり、Twitterの外にまで広がっている。
「コピペも面倒くさいと思って」
もともとは、吉田さんが自分のために作ったサービスだった。昨年9月。当時働いていたヤフーで、あるITイベントの様子を社内向けに報告することになったのが発端。イベントについてのTwitterのつぶやきをプレゼン資料に活用しようと考え、ドラッグ&ドロップでツイートを簡単に抜き出し、スライドショー化できるツール作りを思い立った。
わざわざツールを作らなくても、気になるツイートをコピー&ペーストしてまとめればいいようにも思える。だが吉田さんは「エンジニアの性(さが)として、コピペも面倒くさいと思った」。普段Twitterを使う中で、過去に盛り上がった話題について後から話を追うのが面倒と感じていたこともあり、ツールを作ることにしたという。
平日の終業後や週末を使い、3週間ほどで一気に制作。社内プレゼンで使ってみたところ「プレゼンの内容より『ツールがすごい』という意見が大半だった」ため、プレゼンの最後にサービス化を宣言した。
個人でのサービス作りは慣れたもの。以前にも、YouTubeで好きな動画をピックアップしてプレイリストを作れるサービス、ニコニコ動画の特定の動画のコメント数伸び率をランキング表示する「時速ニコメートル」など20個ほどのサービスを制作。「自分で情報を探しに行くのが面倒だから、情報をまとめてくれるツールを作ってきた」
新サービス作りで心掛けているのは、「今のスキルでできるものではなく、トライアル的なこと」。Togetterでは、未経験のOAuth認証やログインシステム作りにチャレンジ。複数人で共同編集できる仕組みも付けた。先輩社員の要望に応え、重要なつぶやきの色を変えるなどテキストを装飾できる機能も追加した。
累計まとめ1万5000、月間PV280万に
昨年9月の公開当初は、Twitterで見つけた面白いつぶやきを自分でまとめて公開し、自らのTwitterで宣伝していたが、利用はそれほど伸びなかったという。急激に伸び始めたのは、今年1月、pixiv上での著作権に関連するまとめができ、はてなブックマークで注目を浴びてからだ。現在は月間ユニークユーザー72万、ページビュー280万、累計まとめ数1万5000ほどにまで成長。1日当たり100~200のまとめが作られているという。
まとめられるネタはさまざまだ。元産経新聞記者の福島香織さんによる、中国大地震の実情についてのツイートなど1人のつぶやきからピックアップしたものや、「桃屋の辛そうで辛くない少し辛いラー油」のレシピツイートをまとめたレシピ集、佐々木俊尚さんや東浩紀さんなどによる出版に関する議論――など、ユーザーが面白いと思った多様な内容が、それぞれの視点でまとめられていく。「Twitterで起きた面白いことがTogetterに集まる。人力のフィルタリングが効いている」
他人のつぶやきの順番を編集して公開できるため、議論などが第三者によって偏った視点でまとめられ、批判を浴びることもある。だが「編集は恣意的である方が面白い」と吉田さんは考えている。「反論があるならTwitterで発言したり、Togetterで反論をまとめればいい」。まとめに関するトラブルはあまりなく、これまで削除依頼も2件ほどしかなかったという。
人気のまとめをつぶやくBOT「@togetter_jp」も開発。「トゥギャッタン」という萌えキャラが、ページビューの多い人気のまとめをつぶやいており、Togetterへの重要な導線になっているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
デンマークの880万人分流出、原因はパスワード「123456」 ハッカー「侵入は難しくなかった」 現地報道
-
2
SBI証券のFXで“誤ロスカット” 再委託先IIJが作業ミス、システムでも検知できず 779口座が対象
-
3
「Google Play」、AI Studioで作った自作アプリを自分の端末で実行可能に AIでゲームを探す機能も
-
4
化粧品販売「アエナ」約81万人分の個人情報流出か 氏名やクレカ下4ケタ・有効期限など
-
5
デジハリ大、「Claude」を全学導入へ──国内初、“回数気にせず”使い放題に
-
6
Google、待望の新AIモデル「Gemini 4 Argon」一般提供を開始 推論の継続力を強化 一部ベンチでトップに
-
7
ブックオフ漏えい、退会者21万人も対象 個人情報638万人分の外部送信を確認
-
8
キャッシュレスサービス「IDARE」、約13万人の個人情報漏えい 残高や取引履歴なども
-
9
Apple、「Welcome home」イベントで発表されたことまとめ 日本でも2製品予約開始
-
10
米Getty Imagesが破産申請へ AI画像の台頭で経営悪化、「報道写真」軸に年内の再建目指す
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR