「歌うとすごいんです」
“サンリオの萌えキャラ”がVOCALOIDに AHS「猫村いろは」は実力派の不思議ちゃん
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昨年12月、国内第3のVOCALOIDベンダーとして一挙に3製品を投入したAHSが、サンリオと手を組んで、新たなVOCALOIDを送り込む。10月22日に発売される「VOCALOID2 猫村いろは」だ。ハローキティとのコラボ? キティの中の人? 疑問うずまく状態でAHSの担当者、櫻井靖之氏と二階堂護氏に詳しい話を聞いてきた。
コミケのサンリオブースでサンプル曲だけが流され、DTMマガジンではラフスケッチが公開されたサンリオ×AHSコラボによる新VOCALOIDだが、ハローキティそのものではない。萌え系イラストレーターが、キティちゃんを愛してやまない「キティラー」キャラを描くプロジェクト「ハローキティといっしょ!」のキティラーの1人である「猫村いろは」の歌声を表現したという、まったく新しいキャラクターのVOCALOIDだ。
キャラクターデザインは、人気イラストレーターで、ウルトラジャンプでの連載、創星のアクエリオンでのコンセプトデザイン、ヱヴァンゲリヲンではデザインワークスを担当しているokama氏。
「猫村いろは」はキティラーとしてのデザインは発表済みで、「MikuMikuDance」(MMD)のモデルも公開されている。しかしこれは彼女の普段のファッション。VOCALOIDとして活躍するときには近未来的なコスチュームを羽織っている。それがパッケージにも使われている新デザインだ。
okama氏の設定は非常に詳細で盛りだくさん。両手に装着する「ダイナミック・フォノンバスター」というスピーカーや、キティの耳のようなものをつけて浮遊する「コーラススピーカー」、ネコミミと音符をくっつけたようなデザインのフローティング・マイクロフォンも同じく空中を漂う。「猫村いろは」はヤマハの楽器へのトリビュートは特に設定されていないが、逆に「フローティイング・マイクロフォンなんかはヤマハさんに商品化してほしい」と櫻井氏は意気込む。
VOCALOIDとしてのブレイクスルー
AHSのVOCALOID「氷山キヨテル」の中の人が最近になって明かされたように、後で情報は出てくるかもしれないが「いろはちゃんはいろはちゃん」「中の人はいない」と最初の設定は大事にしたいという。
いまのところ分かっているのは、キャラクターに合った歌手を何人もオーディションし、簡易バージョンでVOCALOIDデータベースを組んだりしながら最適な人を選んでいったということ。どうもプロの歌手をメインに活躍している人のようだ。
今回は技術的に大きな特徴がある。AHSがVOCALOIDを手がけてから1年経った。最初はヤマハのノウハウに従って制作したが、ここで特徴を出せたらいいなということで、収録方法・調整方法で独自のアイデアを盛り込んだという。その中身はここでは明かせないが、聞けばなるほどと納得できるもの。VOCALOIDとして2つのブレイクスルーがあったという。
その結果、テンポが速い曲にしっかり対応でき、子音がはっきりと歌える、裏声がきれいにでる、という効果が出た、と二階堂氏は説明。従来のVOCALOIDではかわいい声質のものが多かったが、今回はドラマチックな曲をしっかりと歌い上げる、高い声になるところできれいなファルセットが出せるといった特徴がある。
ちなみに基本スペックは、E2からG4までの幅広い音域と、70~170という広範囲なテンポに対応できる。必要なHDD空き容量は2Gバイトと、かなり大きい。
実際に猫村いろはのデモ曲を聞いてみたが、子音がはっきりした滑舌の良さと、高音になるとはっきり変わるファルセットは従来VOCALOIDとの違いが分かる。「ベタ打ちでもそれなりに使えるが、VSQのいじりがいがある、ユーザーさんがいろんなアイデアをつぎ込む余地のあるVOCALOID。歌を聞いたときに、体温が伝わるような生々しい、リアルな歌声をうたってもらいたいと思って作っている」と櫻井氏。
ファルセットを確実に出すにはVOCALOID Editorでいろいろと試行錯誤する必要があるだろうが、あえて方法は公開しないが、既に出回っている方法を流用することで可能かもしれない。
AHSによれば、収録したデータベースを1個まるごと捨てたり、最終的な目的に達しないものは録り直したりして、収録・調整に「通常の倍の時間はかけている」。そういう試行錯誤もあり、今年のAHSは、VOCALOIDに関してはこれ1本に絞ることになった。
来年発売に向けて、VOCALOID関連では既に2つほど企画が進行している。1つは企画としておもしろいもの。キャラも声も決まっていない。男声か女声かも未定。もう1つは女の子のVOCALOID。キャラクターがあって、それに声をつける計画だという。
「VOCALOID2 猫村いろは」の価格は1万5750円。初回限定版にはVSQファイル、アナログレコード風音楽CDが付属する。
歌声として目指した「かっこいい女性ボーカル」とキティラーという「不思議ちゃん」の両立。「歌うとすごいんです」というAHSのメッセージはボカロPたちに受け入れられるだろうか?
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