「憤青を日本に輸出しててワロタ」──尖閣問題、中国ネットユーザーの反応は(1/2 ページ)
漁船の船長釈放後も事態が収拾せず、日本では新聞・テレビで連日報道されている尖閣諸島問題。中国では全国紙の政府機関紙はあまり読まれておらず、各都市で発行されている「~晩報」と呼ばれる市民向け新聞が人々に読まれているが、今回の問題が最も取り上げられたのは、温家宝首相が直々に日本政府に対して船長の無条件解放を要求した時だった。
その次に多かったのがフジタ社員4人の拘束と、船長の釈放だった。中国の地下鉄や路線バスには、公共交通専門チャンネルを放送する液晶テレビが取り付けられているが、ここでもやはり温首相登場から船長釈放あたりまで若干報じたものの、その後は少なくなった。
中国各地の新聞はデジタルアーカイブ化されており、PDFで読むことができる。各地の新聞サイトを集めたABBAOをみると、温首相の要求を大きく扱っているところと、そう大きく扱っていないところとさまざまだ。いずれにしろ、継続的にこの事件を報道している「~晩報」はなく、船長が帰ってからの1面トップは、北朝鮮の党代表者会の話題もなく、中国の月周回探査機「嫦娥2号」の打ち上げの話題もほとんどなく、ローカルニュースや不動産規制の話題ばかり。
中国では中秋節(中秋の名月)に続く大型連休「国慶節」(10月1日)が待ち構える。そのため各新聞では旅行特集を組み、旅行代理店の広告が多数掲載される。尖閣問題のさなか、「日本旅行を勧めない」という政府コメントが出た後も、日本への旅行を含む海外ツアーの広告は掲載されていた。最新の情報が載っている旅行代理店のWebサイトでも、海外旅行の中で日本旅行を最プッシュするサイトは、以前よりは少なくなったが、確認できる。
一方で、この事件による日本からの観光客数を減少を懸念する中国国内の声はどうか。日本から中国を観光目的で訪れる旅行者は、観光地の現場レベルでは、ここ5年くらいで減少の一途にあるという。中国の日本人観光客を扱う旅行社は、以前から日本行きの中国人ツアーをすることでフォローし、観光地の日本語ガイドも中国人向けの中国語ガイドも兼ねている。今回の中国へのイメージダウンで、中国の日本絡み観光業者が困窮することはないだろう。
中国のネットユーザーは、特に沿岸部における都市部の30代以下が多く、偏っている。逆に言えば、40代以上の中国人の多くは、新聞やテレビからしか情報を得る手段はない。従って、彼らが得た尖閣問題の情報や、問題への関心は、今日のその都市のローカルニュースのそれよりもずっと少ないということになるが、一方で尖閣問題が北朝鮮の党代表者会以上に特別なニュースであったことを新聞読者は読み取っただろう。
掲示板での反応には温度差
では30代以下が多いネットメディアはどうか。中国のネットユーザー4億2000万人のうち、78.5%がニュースサイトを利用者しているという。こうしたニュースサイトでは、新聞・テレビよりも尖閣問題を大きく扱った。現在は「嫦娥2号」の話題が最も大きく扱われているが、尖閣問題も引き続き、フジタ社員3人が釈放されたニュースや、福岡市で中国人観光客を乗せたバスを街宣車が妨害するニュースが紹介されたことで、いまだ継続的にニュースとして比較的大きめに取り上げている。
各ポータルサイトは特設ページを作り、事件の経緯を時系列で説明し、中国側と(一部の)日本側の言い分や態度を紹介しているが、中国の海洋調査船や漁業監視船が再度ガス田や尖閣諸島周辺に集結している話は特設ページ内で紹介されていない。
こうしたメディアからの情報を受けて、全ネットユーザーの31.5%が利用しているという掲示板サイトでの反応は、サイトによってさまざまだ。反日感情が強い「憤青(発音:フェンチン。憤と同じ発音の糞の字を使い糞青とも)」が集まる傾向にあるサイトでは反日一辺倒。「冷静になろう」と促すコメントすらも売国奴とみなし、罵声を浴びせるサイトもある。その一方で、訪日経験者の多い日本絡みの掲示板では、誰もが意図的にこの問題を避けているといった具合だ。
また反日の程度の強弱に関わらず、不適当なコメントの削除に管理人が積極的なサイトと、そうでないサイトがあった。利用率がネットユーザーの76.3%に上る、メール以上に利用されている「QQ」というサイトのグループチャット「QQ群」でも、グループの反日具合によって事件に対する温度差がある。
利用率が55.1%というブログではどうか。多くのブロガーは、他人が書いた憤青色の強い強硬路線の記事を一言一句変えずに転載している。ポータルサイト「新浪」のブログサービスは著名ブロガーを多く抱える最も人気のブログサイトのひとつ。そこでは一部に冷静に状況を考察した内容のブログもあるが、それでもやはり中国支持であり、尖閣諸島は中国であるべきだとアピールしている。ブログ上では、語気が強いか否かの違いはあれ、中国を支持する立場に変わりはない。船長釈放後一度は尖閣絡みのブログ記事リリースの勢いが静まったが、福岡の事件で再度盛り上がっている。
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