ある若者の死が“原発事故の犠牲者”としてネットで広がり、否定されるまで
ある男性の死が「原発事故の犠牲者」などと根拠もなくネットで取り上げられ、Twitterなどを通じて広がる事件があった。後に関係者がネットに出回った“情報”を具体的に否定したが、ニュースソースが明らかではない「2ちゃんねる」(2ch)のスレッドを元に「2chまとめサイト」がレスを編集して記事にし、これがTwitterで広がるというパターンをたどっていた。
発端となったのは11月26日に発売されたブラックバス釣り雑誌「Rod and Reel」(出版:地球丸)の1月号に掲載された、釣り師・阿部洋人さん(享年24歳)の追悼記事。阿部さんは宮城県に住みながら同誌に寄稿していたが、9月に死去した。同誌は「青春を竿に賭けて」と題した特集で阿部さんをしのんだ。
28日午前、2ちゃんねるに「福島原発30km圏内で野宿し池や川で釣った魚を食べていた阿部洋人さんが急性リンパ白血病で亡くなる」というスレッドが立った。この中で、ある個人ブログの「[食べて応援」で、またも死者!」「つり雑誌に連載に持ち、野宿しながら釣った魚を食べて記事にしていた阿部さんが、急性リンパ白血病で亡くなった。福島県の祖父の田舎を釣りで応援すると言って、30キロ圏内で野宿し、池や川で釣った魚を食べていた」というブログ記事にリンクが張られた。
2chまとめサイトはこのスレとブログ記事を引用する形で、「まだたまに安全厨いるけど、あいつらってどういう思考回路してるんだろうか」といったレスを強調表示しながら抽出して編集し、記事として公開。このまとめ記事を著名人がTwitterでツイートするなどし、広まった。
28日夜になって、同誌の編集部ブログが、阿部さんについて「誤った憶測が飛び交っている」として、記事について説明する文章を公開。「阿部さんは福島原発の30キロ圏内で野宿もしていなければ、釣り上げた魚を食べてもいません」「そもそも彼のおじいさまは、福島県在住ではありません」とネットで出回った内容を否定し、記事に「反原発」といった意図はないとした。
記事の筆者も「彼は福島原発の30キロ圏内で野宿をしていませんし、そこで釣った魚を食べたという事実もありません。もちろん、記事にそのような内容はありません」とブログで否定。阿部さんの友人を名乗る人は、阿部さんが急性リンパ性白血病で亡くなったことは事実だが、福島は「通過しただけ」とTwitterで説明。「反原発を訴えるのは勝手ですが、友達の死を捏造してまでやるヤツが腹立たしいです」とツイートした。
こうした説明を受け、「食べて応援」で、またも死者!」という記事を公開していた個人ブログはその後、「事実であるとの確認が取れませんでした」と[記事を削除した。一方でまとめブログの記事は公開され続けており、こうしたニュースソースの検証がないまとめ記事を安易にツイートするTwitterユーザーの姿勢への批判的な見方もある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
2
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
3
本物そっくり“AI生成レシート“が経費精算の脅威に マネフォ「自力で見破るのは難しい」 企業はどう備える?
-
4
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
5
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
6
「iPhone Duo」純正ケース話題、「面白いけど高い」……1万4800円と2万4800円
-
7
デジタル庁に不正アクセス、個人情報24.6万件漏えいか 各府省庁の職員情報など
-
8
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
9
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
-
10
OpenAI、最先端AI開発の減速を検討か アルトマンCEOが社員に説明と米報道
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR