山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」
1年ぶりのプレミアム画質、ソニー「KDL-55HX950」が見せたコントラスト表現の素晴らしさ(2/2 ページ)
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採用された液晶パネルは、VAタイプに直下型の白色LEDバックライトを組み合わせたもの。絵柄に応じてLEDモジュールの明るさを適応的に制御するローカルディミング(部分減光)の手法が採り入れられているのはいうまでもない。詳細は発表されていないが、見た感じエリア分割数はHX920シリーズ同様、かなり粗い印象だが、ローカルディミングの制御タイミングがより洗練されており、場面による輝度変化にきわめて俊敏に追随する。ここまで黒の黒らしさと暗部階調の稠密な再現を目の当たりにさせてくれるモデルはほかに見当たらないほどだ。ただし、先述の通りエリア分割数の粗さゆえ、黒バックに白文字が浮き上がったときなどに、その輪郭がボワッとフレア状ににじむハロと呼ばれる現象がやや気になるのも確かだ。
表示は4倍速(240Hz)処理だが、バックライトの高速ブリンキング処理により8倍速表示と同等の動画解像度を実現している。従来の4倍速表示と比べると、そのメリットは歴然。カメラが大きくパンニングしても画像が崩れないのは、本シリーズの大きなメリットだろう。
機能面では、HX920シリーズのシングルチューナーからダブルチューナー仕様になったことが大きい。これによって外付けHDDへの裏番組録画が可能になった。また、HX850シリーズ同様ソニーが提供するネットワークサービス=SEN(ソニーエンタテインメントネットワーク)につながるダイレクトボタンをリモコンに持たせることで、よりイージーにネットコンテンツへのアクセスを可能にしている。
本機の最終試作機で、前回も紹介した「マリリン・ザ・プレミアム/ブルーレイ・コレクション」の、4Kマスタリングが施された「紳士は金髪がお好き」(1953年)を観賞した。部屋の明かりを落した暗室状態で映像モードをモニター画質を指向した「シネマ1」に設定しての視聴である。
マリリンのスキントーンの見事さ、ブロンドのきめ細かな描写が圧倒的で、息をのんで画面を見つめ続けた。ノイズの少なさも信じられないほどで、画面全体がくっきりと見通しがよい。ダビングスタジオでマスターポジに出会ったような錯覚を抱くほどの鮮明画質だ。とてもじゃないけれど60年前の映画だとは思えない。これはデータベース型の複数枚超解像処理を行う画質エンジン「X-Reality PRO」の完成度がいっそう上がり、ノイズと信号の見極めがいっそう向上したためだろう。
心配された液晶テレビ特有の色の単調さ、浅さもほとんど気にならない。マリリンの口紅のつややかさ、ジェーン・ラッセルが身につけた赤いスーツと茜(あかね)色の帽子の描きわけにも不満はない。
最新映画BD「ドライヴ」のオープニング・シーンのコントラスト表現の素晴らしさにもドキモを抜かれた。強盗を企てる2人組をクルマの中で待つ主人公(ライアン・ゴスリング)。その漆黒の闇の深さとつややかさが精妙に表現され、寡黙な主人公の孤独をみごとに照射するのである。これは液晶テレビの常識を大きく覆す表現力だと思った。
新しい表示デバイスを用いた自発光大型ディスプレイの登場が間近に迫っているが、本機のような表現力を持つまでには、やはりそれ相応の時間がかかるのは間違いないだろう。時間をかけて練り上げられた“枯れた”技術とノウハウが盛り込まれた「KDL-55HX950」。2枚の映画BDを観て、今買いどきの高級液晶テレビだと確信した。
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