企業広報の「隠れ家でちょっと一息」
言葉を丁寧に紡ぐ人であれ ビルコム・中村亜裕美さん(1/3 ページ)
連載「隠れ家でちょっと一息」の過去インタビュー記事一覧
「言葉(ことば)」とは――人が声に出して言ったり文字に書いて表したりする、意味のある表現。あるいは、音声や文字によって人の感情、思想を伝える表現法。(小学館「デジタル大辞泉」より)
言葉の存在そのものを大切にし、日本語の持つ美しさを心から愛する。中村亜裕美さんとはそうした女性である。現在、ビルコムの広報を担当する中村さんは、どんな場面でも軽々しい言葉を使わない。メールのひとつをとってみても、ビジネス文書であれ、私信であれ、常に丁寧に文字を綴り、読み手の背筋をシャンとさせる。
一方で、本人に会うと、ほんわかした、ときには天然ボケも見せる“癒し系”で、周囲を和ませ、笑顔にさせる。そのギャップが中村さんの魅力といえよう。
そんな中村さんが大学卒業後に初めて就いた職業はアナウンサー。いわゆる“女子アナ”として、朝から晩まで奔走する日々を送った。プロ野球のリポーターから株式市場の取材まで、テレビカメラの前に立ち、視聴者に向けて言葉を投げ掛け続けた。
ところが、あるとき、中村さんに心境の変化が訪れる。アナウンサーは基本的に原稿を基にしたメッセージを発信することが生業だ。そのメッセージというのは必ずしも自分の言葉ではない。むしろ、自分の言葉であることの方が少ないのである。「自分で文章を書き、自分自身の言葉で多くの人たちにメッセージを伝えたい」――。中村さんは転職を決意、3年間勤めたテレビ局を後にする。
そこで選んだ仕事が「広報」。しかもデジタルマーケティングやPRを主力事業とする会社の広報という、一般の企業広報とは異色の世界に飛び込んだ。自分の言葉で発信する仕事、中村さんの表現を借りれば「言葉を紡ぐ仕事」という観点では、記者や編集者という選択肢もあったはずだ。なぜなのか。「“コミュニケーションのデザイン”や“デジタルとコミュニケーションの融合”といったビルコムのメッセージ性が私にとって新鮮で、とても興味を持ちました。また、自分が作り上げた企画や原稿をベースに世の中に広くPRしていくのも刺激的だなと感じました」と中村さんは話す。
1年ほど前からプライベートで短歌を始めるなど、公私にわたり言葉と真摯に向き合っている中村さんに、外国のムードただよう青山のカフェで話を伺った。
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