山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」
最強プレーヤーを進化させた脳科学的なアプローチ――OPPO「BDP-105DJP」(2/2 ページ)
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ダービー回路を効かせると、映像の尖鋭度が上がってより高精細な印象の画質が得られるのだが、じっくり見ていくと、全画面のシャープネスやコントラストが上がっているわけではないことが分かってくる。映像全体にエンハンスがかかり過ぎたイヤらしさがないのだ。明暗の差が大きな小面積部分、例えば人の顔の目元や鼻筋、口元などの入り組んだ部分だけが、鮮鋭感がぐっと向上する印象なのである。確かに映画を観ているとき、私たちは無意識のうちに登場人物の表情を追い続け、それぞれの人物が今何を考えているか、どう感じているかを類推しながら物語に入り込んでいくわけで、先述した「人間は物体を認識するとき、どの部分を注視するのか」という基本概念に基づいて画像解析し、その部分をよりクッキリ、ハッキリ見せることで、視聴者を映画の世界により深く誘おうとしているのだな、ということが理解できた。
メーカーはレベル(効き具合)50 が標準値というが、プロジェクターを用いた110 インチのスクリーン投写では、このレベル50設定では、登場人物の顔の陰影が付き過ぎてノイズが浮き気味になる印象。再生するコンテンツにもよるが、25~35くらいの設定で十分な鮮鋭度向上効果が得られることが分かった。
とくにダービー回路の効果が著しかったのが、トム・クルーズ主演のSF大作「オブリビオン」だった(監督は『トロン: レガシー』のジョセフ・コシンスキー)。5K解像度の「RED EPIC」と4K解像度のソニー製シネアルタカメラ「F65」という2種類の高解像度カメラで撮影し、4Kワークフロー(マスタリング)で仕上げられた作品で、ダービー回路オフでも十分な鮮鋭感が得られるのだが、ダービー回路をオン/オフして見比べていくと、オンで観たほうが、よりいっそうリアルな立体感が得られ、映像の吸引力が増すことが分かってくるのである。
例えば、記憶を消された主人公のジャック(トム・クルーズ)と宇宙船に乗ってやってきたジュリア(オルガ・キュリレンコ)の2ショット場面などで、被写界深度を浅く取り、手前のジャック、後方のジュリアをフォーカス送りすることなく、カットを割りながら、どちらかをデフォーカスして立体感を演出しているのだが、そんな場面でダービー回路を効かせると、そのフォーカスが合った人物の目元がいっそうキラリと光ってより表情が豊かになり、結果的にデフォーカスした人物との対比が明瞭になって、シャープな立体感が醸成されるのだ。
先述した「人間は物体の立体感をどのように認識するか」という脳科学的アプローチに基づいた独自の画像解析技術が用いられた信号処理回路だということを強く印象づけられた視聴体験だった。
人はモノを見るときに無意識のうちに注視するポイントがあるというダービー回路の知見は、今後の高画質再生を考えるうえでとても重要なポイントになっていくのではないかと思う。本格的な4K時代を前にして、これからは脳科学を無視して高画質を語ることはできなくなるかもしれない、とふと思った。
ちなみに、ダービー回路は本機の4Kアップコンバート出力にも3D出力にも有効である。
DSD再生にも対応したUSB入力を試す
ところで、「BDP-105JP」はオーディオプレーヤーとしても驚異的なユニバーサリティを誇っている。再生できないハイファイ系コンテンツは、アナログレコードだけといっても過言ではないほどの万能機なのである。そして今回の「BDP-105DJP」では、新たにPCとの接続を想定したUSB(B端子)入力において5.6MHz(128fs)のDSDファイル再生が可能になったことを特筆しておきたい。
本機は、DLNA環境に置いたNAS などのストレージデバイスの音楽ファイルが再生できるネットワークオーディオ機能も有するが、そのイーサネット入力時とフラッシュメモリーなどを挿すUSB(A端子)入力時には5.6MHzのDSDファイル再生は不可となるが、192kHz/24bitまでのWAVやFLACなどのPCM系ファイルや2.8MHz(64fs)のDSDファイルの再生は可能となる。
また、本機には音質に定評のあるESSテクノロジーの8チャンネル構成の32bitタイプの超高級DACチップ「ES9018」が2基投入されている。そこで、本機の8chアナログ音声出力を、同じ米国カリフォルニア州を本拠とする新進オーディオメーカー、ニューフォースのマルチch入力付きアナログプリアンプの「MCP-18」(12万6000円)につなぎ、8chパワーアンプの「MCA-20」(24万9900円)と組み合せてJBL「K2S9900」を中心としたわが家のサラウンド・システムを鳴らしてみたが、これが掛け値なしに凄かった。音の鮮度がきわめて高く、「オブリビオン」の精緻な音響設計をみごとに活写するのである。
愛用するAVアンプのパイオニア「SC-LX86」((間もなくSC-LX87にリプレースする予定)は、制作時の不備にまつわるLFEchの時間遅れを自動的に較正してくれる「オートフェイズコントロールプラス」というすばらしい機能を備えていて、ぼくにとってはかけがえのない大切な機械だが、こと音のフレッシュさ、情報量の多さにかけては、ニューフォースのペアとのアナログ接続のほうが上をいく印象で、値段がSC-LX87とほぼ同じのMCP-18/MCA-20の実力の高さに少なからず動揺してしまった。
もっともこれは、超高級DAC チップ「ES9018」を経由する本機「BDP-105DJP」のアナログ出力の音の品位がきわめて高いということの証左でもあるわけで、改めて本機の画質・音質両面に渡る類稀な実力の高さに改めて感服した。はっきり言おう。本機の17万1250円は、破格です!
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