世界に羽ばたく「ツイキャス」、“ステージ”ではなく“インフラ”に 1000万ユーザーの先へ(1/2 ページ)
スマートフォンに特化したライブ動画配信アプリ「ツイキャス」のユーザーが「545万人」を超えた。昨年11月末に400万人突破を発表しており、2カ月強で約150万人が増えるという順調な成長ぶりだ。昨年末にシリコンバレーに拠点を設立するなど精力的な展開を続けるモイの赤松洋介社長に次の一手を聞いた。
フィンランド人より多く「モイ!」
545万人という一見中途半端に見える数字は「フィンランドの人口」だ。ツイキャス配信の開始をTwitterに投稿する際、デフォルトで表示されるかけ声「モイ!」は、フィンランド語で「こんにちは」という意味。赤松社長が2007年に同国に滞在した時、やわらかく親しみやすい響きに引かれたのがきっかけだ。ライブ配信への技術的なハードルを下げ、ネットや機材への理解が浅くても手軽に楽しんでもらいたいというツイキャスのアイデンティティの1つとして大事な言葉になっている。
サービス開始当初「モイ!」の意味を尋ねる問い合わせが約半数を占め、特に女性ユーザーには響きのかわいさが印象に残るなど、新規ユーザーを獲得する大きな要因の1つにもなったという。「フィンランドの人口より『モイ!』でコミュニケーションを始める人が多くなったわけですよね……そう思うと面白いじゃないですか、ここまで大きくなるなんて最初は思ってもみなかった」(赤松社長)
ユーザー増加は加速、海外展開強化
ユーザーの増加は加速しており、月間純増数記録を毎月更新している状況。母数の広がりによる利用層の変質はほとんどなく、24歳までの学生を中心にほぼ口コミだけで支持を得てスケールアップしており、全国の大学生の約半数(133万人)が利用しているという。男女比はほぼ半々、国内ユーザーは北海道から沖縄まで全国に散らばっている。
配信・視聴共に圧倒的にモバイルの率が高く、トラフィックの7割を占める。配信者によっては、視聴者の9割近くがモバイルから。また、他の動画サービスと比較して認知度に比べ配信経験率が高いという調査結果もあるなど、見るだけでなく自ら発信するユーザーが多いのも特徴だ。ソチ五輪男子スノーボードで銀メダルを獲得した平野歩夢選手も学校の友人を交えて楽しんでおり、人気を集めている。
今年は海外展開を強化する。すでに全ユーザーの16%(昨年11月時点)を占めるブラジルやメキシコなど中南米を中心にユーザー獲得に取り組む。モバイルに特化したライブ配信サービスはほとんどないため、今後のスマートフォン普及率の上昇や若年層人口の多さも踏まえ「伸びる余地はある」(赤松社長)と意気込む。日本とは異なる通信環境や利用ツールでも快適に使えるようチューニングし、類似サービスをすでに利用しているユーザーに乗り換えを働きかけるなどの施策を打って行きたいという。
昨年11月に開設した米サンフランシスコの拠点も本格的に動いていく予定。ユーザー獲得に関わるマーケティングやPR業務のほか、データセンターの設立、現地でエンジニアを採用し開発業務も行いたいという。
選挙戦でも活用 若年層以外にも広がり
スマホ1台、ワンタップでライブ配信できるツイキャスは、選挙戦での広報用ツールとしても定着しつつあり、若年層以外への認知も広げている。昨年7月の参議院選で当選した山本太郎氏はツイキャスをフル活用したことで知られる。今年2月の都知事選でも4人の候補者が何らかの形で利用し、細川護熙氏は街頭演説の様子を生配信し、数千人規模の視聴者を集めた。候補者による配信ののべ視聴者数は60万人を超えたという。
赤松社長はツイキャスの強みとして(1)屋外や移動中でも配信できる機動性の高さ、(2)SNSとの連携が強さ、(3)ポジティブなコメントが多いこと――などを挙げる。普段とは異なるユーザー層が視聴・コメントしたり、逆に10代を含む若年層がアクセスする例も見られたという。
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