「歌舞伎すげえ」がネットの向こうに届いた手応え 「超歌舞伎」舞台の上から役者が見た景色(1/5 ページ)
「歌舞伎全然分からないけど泣いてしまった」「テクノロジーと伝統芸能の素晴らしい融合」「会場もコメントも盛り上がりがすごくて鳥肌」――古典歌舞伎「義経千本桜」と初音ミクの代表曲の1つ「千本桜」を融合した新作歌舞伎「今昔饗宴千本桜」(はなくらべせんぼんざくら)が「ニコニコ超会議」(4月29~30日、千葉・幕張メッセ)で上演された。主演に中村獅童さんと初音ミクさんを迎え、俳優の演技と映像表現が絡み合う「超歌舞伎」は、リアルタイムにネット配信され、歌舞伎ファン以外からも大きな注目を集めた。
2日間で全5回の公演を行い、回を追うたびに口コミで人気が広がった。千秋楽はイベントホールの入場を規制するほどの超満員となり、約5000人の観客を集めた。ネット配信の視聴数は累計15万回にのぼっている。
佐藤忠信と白虎を演じる中村獅童さん、美玖姫役の初音ミクさんに並び、敵役として美玖姫に挑みかかる邪悪な精・青龍役を務めたのが澤村國矢さんだ。悪役を特徴付ける青い隈取の迫力ある見た目、存在感のある演技で舞台を盛り上げた。
テクノロジーとの融合をテーマに、映像表現やボーカロイド・初音ミクの声を多用した「超歌舞伎」。普段の演目とは全く異なる準備が必要となる演目を、歌舞伎と心理的距離が遠いであろう若年層ネットユーザーの多い「超会議」で演じる――そのステージからはどんな光景が見えたのだろうか。
――まずは、出演までの経緯を教えていただいてよいでしょうか。
澤村國矢さん 普段のお仕事と同じように、松竹の方から3月半ばに電話をいただいたのが最初です。4月公演に関することかと、いつもと同じように電話に出たのですが、なんだか電話口で様子がおかしくて。「あのー、『ニコニコ超会議』ってご存じですか?」と……。
電話をいただいたのが朝早めの時間で、実は僕その時、寝起きだったんですよね。最初何の話をしているのかよく理解できなくて、「主演は中村獅童さんと初音ミクさんと……」という言葉を「はぁ」「分かりました」と頭にハテナマークを浮かべて聞いていました。
初音ミクさんご自身はもちろん存じ上げていたのですが、「超会議」というイベントは初めて聞いたのですぐにネットで調べました。最初の印象は……「こんなところで、歌舞伎やるの?」。若い人が多いネットカルチャーのお祭りということで、ずいぶん縁遠い場所だなぁ、というのが正直な感想でした。
その後すぐに打ち合わせに行ったのですが、「義経千本桜」とボーカロイドの曲や小説「千本桜」をベースにした新作歌舞伎です、國矢さんはオリジナルの敵役・青龍です、と説明されてもまだ疑問ばかりでした。ステージの模型で「ここにミクさんが映ります」と言われても全然ピンと来ませんでした(笑)。
その初回の打ち合わせで「映像を先に作らなくてはならないので、大体の尺を知るためにせりふ読んでもらってもいいですか?」と言われて。普段は絶対こんなことはないですね。松竹の会議室で、ほとんど初見の台本を「こ、こんな感じでいいのかな?」と探り探り、読み上げました。
――その段階で本番の1カ月前なんですね。もっと早くから準備したものなのかと思っていました。
もちろん、制作作業はもう少し前から始まっていますけどね。稽古の初日は4月23日でした。直前まで別の公演に出ていた演者もいたので、結局、出演者全員がそろったのは27日です。
――えっ、本番は29~30日でしたよね? 1週間切っている……?
歌舞伎の世界を知らない人によく驚かれることの1つですが、1カ月続く公演でも稽古は4日間程度が普通なんです。なので、普段と比べて短いわけではないんですが、「超歌舞伎」は普段と全然違いましたからね……かなりギリギリでした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
6
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
7
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
8
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
9
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR