九州最西端の地 交通安全を祈願し続ける発明家 金山さん(3/3 ページ)
――え、じゃあこの輪っかは後から付けたものじゃないってことですか?
「そうよ。もともと同じ一本の木で、うまいことくりぬいて輪にしたの」
「これもっと小さいやつをね、キーホルダーにして作ってたんだけどね。いっとき販売しとったんだけどね。観光土産にするって頼まれて、それで作ってたの。手間がかかってさあ、やめたんだけどね」
――すごいですね。これって平戸の伝統工芸なんですか?
「いいや。ぜんぶ自分で考えたよ」
――ええ!こんな技術、とても普通の人は考えつかないですよ!
「そうかねえ」
金山さんはうれしそうに笑った。その細かい技術は、誰かに教えてもらった訳ではない。持ってうまれた発想力とセンスによって形成されていた。間違いなく金山さんはDIYの天才であった。
「新しいの作ろうとなると、こういう材料でできるんじゃないかなあって、頭に浮かんでくる。毎日楽しいよ。毎日寝とっても、あそこはどうするかな~何を使うかな~って楽しみでしょうがないのよ。趣味をもってるってことはいいことだと思うけどね」
「でき上がって、これ違うなあってなったら、また壊してな」
――納得いかないと、壊してしまうんですか。
「そうだよ。そんな風に作り続けていくたびに、品物がきれいになったり、形が変わっていく。それが楽しみでしょうがない」
金山さんの作品は、ストイックに作り続けることによって少しずつ進化していっているのだった。きっと誰も考えもしないようなアイデアを使い、これからもここを通る人たちを驚かせることだろう。
「これね、最近出したばっかりの作品。これは普通のカブっちゅうバイクだけどね。そこにタイヤをうしろ2つつけて。ヘルメットなしで乗れる3輪のやつがあるでしょう。あれに変えてね。頭にマネキンを乗せてね……」
「この前を通って、ああーいいねえきれいだねって、思ってくれたらうれしいね。それで交通安全につながれば、こんなにうれしいことはないね。まだまだたくさん作っていこうかと思ってるよ」
これからも金山作品は、平戸の交通安全を守りながら進化していくのだ。その様子は楽しみでしょうがない。
皆さんもどうぞご安全に。脇見運転には、くれぐれも気を付けて。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
孤高のD.I.Y.
世の中には、作らずにはいられない人たちがいる。役に立つとか評判になるとかを超越して、自作せずにはいられない人たちが。そんな人たち自身と、彼らが作ったものを、ライターの金原みわさんが追いかけます。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
5
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR