富士通、“30年磨いた”AI「Zinrai」API提供 ディープラーニング専用プロセッサも開発中
富士通は11月29日、同社が開発した人工知能(AI)「Zinrai」の機能をパッケージ化した「Zinraiプラットフォームサービス」の提供を始めた。自然言語処理や画像認識などのAPI、ディープラーニング基盤を、同社のクラウドサービス「MetaArc」上で利用できる。「富士通が30年磨いてきた技術を提供する」という。
Zinraiは、富士通研究所が80年代から培ってきたAI技術を体系化したもので、2015年末の発表時から国内のユーザー企業と協力し、コールセンター支援や機械の故障予測など300件以上の業務システムへ導入の検討、実証実験を行ってきたという。
新たに提供する「Zinraiプラットフォームサービス」では、画像認識や音声テキスト化・音声合成などの「知覚・認識」、自然言語処理や情報検索などの「知識化」、推論や予測など「判断・支援」――という3ジャンルに分けた「基本API」21種を用意。需要予測など業務要件に応じた「目的別API」19種と合わせ、合計30種を提供する。
富士通の阪井洋之グローバルマーケティング部門長は「実証実験の結果からニーズや実用性が高かった機能を選んだ」と話す。「他社のサービスは汎用性を重視したサービスが多いが、私たちはユーザーのニーズに近付いて、業務に合ったサービスメニューを提供するのが強み」(阪井部門長)。
まず、基本APIの7種と目的別APIの2種を17年4月から提供し、18年3月までに30種へ拡大する予定。あらかじめ富士通が用意する学習モデルだけでなく、ユーザーの業務ごとに必要な学習モデルを作ることも可能という。
各種APIに加え、ディープラーニングの基盤「Zinraiディープラーニング」も提供。富士通が開発したスーパーコンピュータの並列処理技術と米NVIDIAのハイエンドGPU「NVIDIA Tesla P100」などを組み合わせ、「世界最速クラスの学習処理能力を実現した」(同社)としている。
これらのサービスは導入に終わらず、企画や運用までトータルでサポート。ユーザーの経営課題を引き出し、AIの活用方法を提案する「Zinraiコンサルティングサービス」、システムの設計・構築を助ける「Zinrai導入サービス」、学習モデルなどのメンテナンスを行う「Zinrai運用サービス」を提供するという。
現段階ではクラウドサービス上での提供となるが、自社内にAI活用システムを構築したいユーザー向けに、オンプレミスでの提供も予定する。また、ディープラーニング専用のAIプロセッサ「DLU」も開発し、2018年度から出荷するという。理化学研究所と共同開発したスーパーコンピュータ「京」の技術を応用し、Zinraiディープラーニングの性能向上を目指す(DLU自体を販売するかは検討中)。
同社のデジタルサービス部門 菊田志向氏(AIサービス事業部担当)は「富士通ではAI関連ビジネスを中核に位置付け、2020年度末までにグローバルで累計3200億円の売り上げを目指す」と話している。
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