太田智美がなんかやる

80歳を超えたオババが「Swift」でiOSアプリを開発 その裏で起こっていたミラクルストーリー

 Appleが作ったプログラミング言語「Swift」を使ってiOSアプリを作るスーパークリエイター若宮正子さん(マーちゃん)のことを覚えているだろうか(関連記事)。マーちゃんは“年寄りが勝てるゲーム”を作るべく、ひな壇に男びなや女びな、三人官女、五人囃子などを“正しく”並べていくおひなさまゲーム「hinadan」を開発。新しいことに挑戦し続けるその姿に多くの反響を呼び、そのイラストがマーちゃんの友人である峰尾節子さんによってWordで描かれていることでも話題になった(関連記事)。

 しかしこれで終わりではない。このプロジェクトにはまだ続きがある。

Swift “マーちゃん”こと、若宮正子さん

 実は、「マーちゃんの記事を読んだ」と、ある人がFacebookメッセージで声を掛けてくれた――「智ちゃん。お雛さまの声、必要?(笑)」。

 声を掛けてくれたのはとある現役の声優さん。声を聞けばすぐに誰だか分かる人も多いだろう。出会いは、約数年前。脳梗塞で倒れた慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授(元マイクロソフトの社長)古川享(Sam)さんの“怪気祝い”で知り合い、それから何度か“Samの会”でお会いしていた。

 筆者:なななな、なんと!!!

 声優さん:むむむむ、むははは!!!

 こうして、まさかのコラボレーションが決まった。収録にはアプリ開発者であるマーちゃんと筆者が立ち会うことになった。

 ところが筆者は、いつものように、音声の録音をスマートフォンで行う気マンマン。マーちゃんアプリプロジェクトのグループチャットに入っていたSamさんから厳しく注意された。

 「高度な録音のできるICレコーダーを持って伺いなさい。レコーダーは高性能マイクが付いてて、SDカードにMP3か、PCMもしくはDSDで録音出来る機材を持っています。きちんと一発取りができるよう、智ちゃんが今日中に私からピックアップして、きちんと予習しておくように!」――なんと、Samさんが録音のための機材を貸してくれるという。でも、私はこわかった。

 何がこわかったかというと、音声を録音するのにそれほどの覚悟が必要だということ。筆者はこれまで、プロの声優さんの声など録音したことがない。慣れない機材を使い、失敗をせず、一度で録れるのか……不安で不安で仕方なかった。

 機材受け取りのため表参道のカフェで待ち合わせると、杖を付いたSamさんがのっしのっしと現れた――「これを使いなさい」。

 受け取った機材を見て筆者はあたふたしていた、そんな筆者を見かねて、Samさんは説明を始めた。設置方法から、録音の仕方、音の調整まで……。

 何から何まで全て習った。あとは練習するのみ。こうして収録本番を迎えた。

 収録現場は、アイティメディアの会議室。録音機材と台本を準備し、マーちゃんと筆者が息をひそめる中、行われた。

 声優さん:「ようこそ、おこしたもれました。この遊びはな。80を超えたマーチャンおばばが、年寄りに好まれそうなスマホのゲームアプリを、と自ら作ったであらっしゃいます……」。

 終わった……。これをアプリに差し込めば完成だ。すぐにデータをバックアップし、マーちゃんに渡した。

Swift 録音した音声を確認するマーちゃん

 数日後――。

 2017年2月24日、iOSアプリ「hinadan」が公開された。Microsoft Wordでおひなさまを描いた峰尾節子さんと、アプリ制作の先生を引き受けた小泉勝志郎さん、縁をつないで機材を貸してくださったSamさん、ナレーションを引き受けてくださった声優さん、そしてマーチャンのミラクルなパワーが、集まって。

太田智美

筆者プロフィール

 小学3年生より国立音楽大学附属小学校に編入。小・中・高とピアノを専攻し、大学では音楽学と音楽教育(教員免許取得)を専攻し卒業。その後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科に入学。人と人とのコミュニケーションで発生するイベントに対して偶然性の音楽を生成するアルゴリズム「おところりん」を生み出し修了した。

 大学院を修了後、2011年にアイティメディアに入社。営業配属を経て、2012年より@IT統括部に所属し、技術者コミュニティ支援やイベント運営・記事執筆などに携わり、2014年4月から2016年3月までねとらぼ編集部に所属。2016年4月よりITmedia ニュースに配属。プライベートでは2014年11月から、ロボット「Pepper」と生活を共にし、ロボットパートナーとして活動している。2016年4月21日にヒトとロボットの音楽ユニット「mirai capsule」を結成。

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太田智美がなんかやる

ITmedia ニュースに配属された太田智美が、テクノロジーの力を信じてなんかやるという新連載。毎日るんるんしながら生きている。

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太田智美

小学3年生より国立音楽大学附属小学校に編入し、小・中・高とピアノを専攻。大学では音楽学と音楽教育(教員免許取得)を専攻し卒業する。 その後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科に入学。人と人とのコミュニケーションで発生するイベントに対して偶然性の音楽を生成するアルゴリズム「おところりん」を生み出し、「おところりん:ソーシャルネットワークにおける偶然性を用いた音楽生成(Otocororin: a chance music for social network systems) (http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php/KO40001001-00002010-0075.pdf?file_id=44931) 」を修士論文として提出。同研究は、情報処理学会 第12回「Internet and Operation Technology(IOT)」研究会において学生奨励賞を受賞。 同大学院を修了後、2011年にアイティメディア株式会社に入社。営業配属を経て、2012年より@IT統括部に所属し、技術者コミュニティ支援やイベント運営、記事執筆などに携わる。2014年4月から2016年3月までねとらぼ編集部に所属。2016年4月よりITmedia ニュースに配属される。これまでの代表作は「世の中やっぱり金でした 71万円の大金を積んで誰よりも早く『iPhone 6 Plus』の使い勝手を検証してみた (http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1409/10/news139.html) 」「スケスケでまるみえじゃないですか! 人によっては透明に見えるドレスを作ってみた (http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1502/27/news152.html) 」「あの日、Twitterのくじらが出なかったもう1つの理由 (http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1401/08/news082.html) 」「ゆとり世代が問う『好きなことをやって何が悪い!』(シリーズ) (http://www.itmedia.co.jp/keywords/yutori_generation.html) 」「はじめてのAI(連載) (http://www.itmedia.co.jp/news/series/5264/) 」など。 Twitter:@tb_bot (https://twitter.com/tb_bot)

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