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Wordで描かれた「おひなさま」がすごい 袴は「論理積ゲート」で、鼻は「頂点の編集」で描く太田智美がなんかやる

» 2017年02月03日 17時53分 公開
[太田智美ITmedia]

 Appleが作ったプログラミング言語「Swift」を使ってiOSアプリを作るスーパークリエイター若宮正子さん(マーちゃん)のことを覚えているだろうか(関連記事)。実は、この話には続きがある。

 マーちゃんは“年寄りが勝てるゲーム”を作るべく、「おひなさまゲーム」を開発中。ひな壇に男びなや女びな、三人官女、五人囃子などを“正しく”並べていくゲームで、3月3日の公開を目指している。

 ところでこのおひなさまの絵、どうやって書かれているかお気付きだろうか。実は「Microsoft Word」でできているのだ。聞けば、「お友だちに書いてもらった」という。いったいどうやって書いたのか。そのお友だちの家を訪ねた。


Wordアート

 迎えてくれたのは、マーちゃんとお友だちこと、峰尾節子さん。2004年にWordでお絵かき(シェイプアート)を始めて以来、シニアパソコン教室のボランティアをしたり、Wordアートの講師を務めるなど、シェイプアートの普及活動を続けている。


Wordアート 峰尾節子さん

 それにしても、本当にあの文書作成ソフトウェア「Word」で書かれているのか。作り方を尋ねると、分解してみせてくれた。

 確かに全てWord内の「図形」で書かれている。女びなの眉は「月」を細め、黒目は楕円、目の形は「曲線」を用いて描かれ、鼻は「二等辺三角形」を書いた後「頂点の編集」で底辺をくぼませている。唇は「月」を3つつなげて作成。袴は「論理積ゲート」を2つ組み合わせ、立体感が出るようそれぞれにグラデーションをかける。


Wordアート 本当にWordで作られてる……

Wordアート 顔のふくらみを人形によって変えるという細かなこだわりも

 1番の謎だった着物の柄は、折り紙の絵柄をスキャンして取り込んで作られていた。「図形の塗りつぶし→テクスチャ→その他のテクスチャ→図」から「図の選択」で折り紙の画像を選び挿入すると、その柄が着物の柄として入る。そこへ透明度を調整した図形を重ねると、このような絵ができるという。


Wordアート 形を作って

Wordアート 予めスキャンした色紙から好きな柄を選択

Wordアート 色紙の絵柄が着物の柄に。ここに透明度を調整した図形を重ねると完成する

 扇などに使われている「線」は、単純に「直線」で書いているのではなく「長方形」を補足したもの。「直線」で描いてしまうとサイズを変更しようとしたときに線の太さがそのまま残ってしまうため、あえて「図」を選ぶそうだ。

 各パーツができあがったら、崩れないようパーツごとにこまめにグループ化。こうしておひなさまは作られた。改めて、何度見てもすごい。


Wordアート

Wordアート 三人官女

Wordアート 五人囃子

Wordアート 五人囃子

Wordアート 高砂人形

Wordアート

 「せっかくなら作っていったら?」と、筆者もだるまびなを作ることに。峰尾さんに習い、1時間ほどで完成した。


Wordアート 峰尾さんに教えてもらい筆者が作っただるまびな

Wordアート

 「描く前に、ネットなどでいろんな絵をみます。それぞれのものがどんな形をしているのか、どんな要素から成り立っているのかを見て、図形を組み合わせます。例えば、人を描くのでも、三人官女は女びなより歳をとった感じに、五人囃子は若く、とか」(峰尾さん)――その表現力に驚く。

太田智美

筆者プロフィール

プロフール画像

 小学3年生より国立音楽大学附属小学校に編入。小・中・高とピアノを専攻し、大学では音楽学と音楽教育(教員免許取得)を専攻し卒業。その後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科に入学。人と人とのコミュニケーションで発生するイベントに対して偶然性の音楽を生成するアルゴリズム「おところりん」を生み出し修了した。

 大学院を修了後、2011年にアイティメディアに入社。営業配属を経て、2012年より@IT統括部に所属し、技術者コミュニティ支援やイベント運営・記事執筆などに携わり、2014年4月から2016年3月までねとらぼ編集部に所属。2016年4月よりITmedia ニュースに配属。プライベートでは2014年11月から、ロボット「Pepper」と生活を共にし、ロボットパートナーとして活動している。2016年4月21日にヒトとロボットの音楽ユニット「mirai capsule」を結成。

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