山崎直子さん語る「なぜ今、宇宙ビジネスなのか」 内閣府と民間企業が“熱くなる”理由
日本で宇宙産業は発展するのか――。国内の宇宙ビジネスを“ブースト”させようという取り組みが始まっている。
内閣府や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが7月4日、宇宙ビジネスのアイデアを募るコンテスト「S-Booster 2017」のローンチイベントを都内で開き、宇宙飛行士の山崎直子さんが「今、宇宙ビジネスに取り組む理由」を語った。
なぜ今、宇宙ビジネスなのか
S-Booster 2017は、内閣府や民間企業が参画する宇宙ビジネスのアイデアコンテスト。2017年6月16日~7月18日に日本人や日本法人から募り、大賞(1件)には300万円、スポンサー賞(4件)には各100万円、審査員特別賞(3件程度)には各10万円を授与。事業化の可能性があるアイデアはJAXAが支援し、宇宙産業への新規参入を促す考えだ。
なぜ、こうしたコンテストを行うのか。山崎直子さんは「技術的にも法的にも、日本の宇宙ビジネス環境が整ってきた」と話す。
日本は人工衛星やロケットを自国で製造できる数少ない国という。国際宇宙ステーション(ISS)には日本の実験棟「きぼう」があるほか、補給船「こうのとり」によるISSへの補給形式の普及、ISSからの小型人工衛星の放出を初めて行い、ルール作りを主導する――など「日本の技術が宇宙の総合的なインフラを支えている」(山崎さん)。
法律面でも好条件が整いつつある。「上空100キロ以上」の宇宙は、「領空」のように国ごとに占有する概念がなく、各国の人工衛星がどの国の上空でも通過できる。ただ、1967年発効の宇宙条約では「民間による宇宙活動は、国の許可・継続的監督が必要」と定められているため、法整備が不十分な日本では、民間企業が宇宙活動を行えなかった。
しかし16年11月、民間の人工衛星打ち上げを許可制にする「宇宙活動法」と、衛星画像の利用を規制する「衛星リモートセンシング法」が成立。国が国内の宇宙ビジネスを支援する体制が整いつつあるという。
国だけではない。S-Booster 2017実行委員会に名を連ねる民間企業のANAホールディングス、三井物産、大林組、スカパーJSATも、それぞれ宇宙ベンチャーに出資。宇宙ビジネスの将来を信じ、S-Booster 2017のスポンサーになっているという。
内閣府は、2017年現在1.2兆円規模の宇宙産業市場を、30年代までに2倍にする目標を掲げている(宇宙産業ビジョン2030より)。山崎さんは「宇宙は分からないことだらけで何をやれば成功するか分からない。しかし宇宙というのは範囲が広く、全く関係ない地上の産業分野が、宇宙と関わることで化ける可能性もある」と指摘する。
「『変えることはリスクだが、変えないでいることはよりリスクだ』という宇宙飛行士のジョン・ヤングさんの言葉がある。宇宙ビジネスの過渡期である今は、ベンチャーや大企業内の新規事業、個人にとってチャンスなのでは」(山崎さん)
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