コンピュータで“錯視”の謎に迫る
「トランプマークが浮いて見える」不思議な画像 どうやって作っている?(1/2 ページ)
連載:コンピュータで“錯視”の謎に迫る
あなたが今見ているものは、脳がだまされて見えているだけかも……。この連載では、数学やコンピュータの技術を使って目に錯覚を起こしたり、錯覚を取り除いたり──。テクノロジーでひもとく不思議な「錯視」の世界をご紹介します。
下の画像をゆっくりと繰り返し上下にスクロールするか、左右に動かしてみてください。中央にある大きなクローバーが、背景から分かれてユラユラと動いているように見えませんか。
この錯視は、前回紹介した「浮遊錯視生成技術」を使って作成したものです。私と共同研究者の新井しのぶが2010年に考案した技術で、好きな画像を“動いて見える錯視画像”にできます。これによって作られる錯視を「浮遊錯視」と呼んでいます。
今回は前回に引き続き、浮遊錯視に関するお話をしたいと思います。
浮遊錯視効果で、動いて見える錯視をより強くする
この浮遊錯視生成技術を作ったとき、私たちには次のような疑問が浮かびました。
「もともと動いて見える錯視に、浮遊錯視生成技術で手を加えるとどうなるか?」
従来の“動いて見える錯視”と、私たちが作った“浮遊錯視”の動き方の違いを調べるという点からも興味があることでした。
いくつかの錯視を試しましたが、ここでは前回紹介した「ピンナ錯視」に浮遊錯視技術を施した結果をご覧頂こうと思います。その前に、元のピンナ錯視を思い出しておきましょう。次の画像がピンナ錯視です。
中央の黒い丸を見ながら顔を画像に近づけたり遠ざけたりすると、周囲の小さな四角が円上を動いているように見えます。ピンナ錯視は四角のふちを上の図のように白と黒にすることで起こります。
この画像の錯視が起こる部分に浮遊錯視生成技術を施し、浮遊錯視を加えてみます。結果は次のようなものでした。
顔を画像に近づけたり遠ざけたりすると、浮遊錯視を後から加えた方が元のピンナ錯視よりも動きが滑らかになり、やや大きくなっていることが分かります。これは浮遊錯視の効果によるものです。
この他に、浮遊錯視の効果を加えて錯視と感じる量を増強できるものもあります。それについては別の機会に紹介することにします。次もピンナ錯視を使って別の実験をしてみましょう。
浮遊錯視でピンナ錯視を逆向きに回す
次はピンナ錯視の四角が動いて見える“向き”に注目してください。ピンナ錯視の内側の円上にある四角は、顔を画像に近づけると、時計回りに動いて見え、画像から遠ざけると反時計回りに動いて見えます。
もしもピンナ錯視に反対向きの浮遊錯視効果を加えるとどうなるでしょうか。結果は次の通りです。
「反対向きの浮遊錯視を加えたピンナ錯視」では、内側の円上にある四角が顔を画像に近づけると反時計回りに動いて見え、顔を画像から遠ざけると時計回りに動いて見えます。つまりピンナ錯視と逆向きに動く錯視画像になっているのです。
ところが、四角のふちの黒と白はピンナ錯視と同じように配置されています。このことから浮遊錯視の効果がピンナ錯視の効果よりも強く出たと考えられます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
コンピュータで“錯視”の謎に迫る
あなたが今見ているものは、脳がだまされて見えているだけかも……。この連載では、数学やコンピュータの技術を使って目に錯覚を起こしたり、錯覚を取り除いたり──。テクノロジーでひもとく不思議な「錯視」の世界をご紹介します。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
6
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
7
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
8
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
9
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR