「芽が出ている事業」へ80億円投資 DeNA、勝負の1年
ディー・エヌ・エー(DeNA)が5月10日に発表した2017年度通期(17年4月~18年3月)連結業績は、売上高が1393億円(前年比3.1%減)、純利益が229億円(同25.4%減)だった。主力のゲーム事業の固定費増大が響いた。守安功社長は、ゲーム事業の減益傾向に歯止めをかける一方、オートモーティブなど「芽が出ている事業」への先行投資を強化する考えを示す。18年度の新規事業への投資額は、前年比1.5倍の約80億円へと拡大し、ゲーム事業と並ぶ“新たな柱”を育てる。DeNAにとって勝負の1年が始まった。
17年度のゲーム事業は、売上高が979億円(前年比3.4%減)、セグメント利益が251億円(同12.2%減)。スマートフォンアプリの売り上げは、国内既存タイトルの堅調な推移や、任天堂との協業タイトルが貢献し増加。しかしアプリの運用体制強化に伴い、販促費や広告宣伝費などが増え、利益を圧迫した。
守安社長は「全社収益を支えるゲーム事業は、大黒柱として強化を継続する」という。18年度は17年度と横ばい、19年度は再成長へとつなげるため、売上高の増加分をコストが上回らないようコントロールする。
18年内には、任天堂と協業するビッグタイトル「Mario Kart Tour」(マリオカートツアー)の投入を予定している。その他、内製・協業を問わず「グローバルで通用するタイトルを1本、18年後半~19年にかけて用意している」(守安社長)という。守安社長によれば、月商10億円を「ヒット」アプリの一基準としており、新作の仕込みに注力する。
一方、25年度までにゲーム事業の規模に匹敵する“収益の柱”を育てる計画だ。守安社長が「種まきした中で、芽が出ている」と挙げるのは、オートモーティブ事業、ヘルスケア事業、ソーシャルLIVEサービス。特にオートモーティブ事業には、新規事業全体の投資額80億円(見通し)のうち過半数をつぎ込む。
オートモーティブ事業のうち、タクシー配車アプリ「タクベル」への期待は大きい。17年秋に横浜市で実証実験を始め、同事業の中島宏本部長(執行役員)は「事業性が見込める」と判断。神奈川県タクシー協会と連携を深め、18年4月には横浜、川崎エリアで本格展開を始めた。
アプリダウンロード数、配車回数など「利用の立ち上がりは良好」(中島部長)という。中島部長は「地域によってバラツキはあるが、神奈川を走っているタクシーの2台に1台がタクベルで呼べる」と自信を見せる。今夏には神奈川県全域へ拡大する。
タクベルは、AI(人工知能)技術を活用し需要を予測、車両ごとに最適なルートを案内するなど、ドライバー側の生産性を向上させる仕組みが特徴だ。タクシー事業者の収益アップも売りに、18年~19年度は首都圏での利用拡大、事業者への普及に投資。「マイルストーンとしては19年度から有意な売り上げの立ち上がり、20年度には本格的な収益貢献を目指す」(中島部長)
その他、中国で急成長し、日本でも同様の兆しを見せているソーシャルLIVEサービスにも注力する。子会社が運営するライブ配信サービス「SHOWROOM」では、アイドルなど人気の配信者に加え、声優やタレントなどが3DCGキャラクターの外見をまとい演じる「バーチャルYouTuber」の需要も取り込む。「東雲めぐ」など「既にSHOWROOMで配信しているバーチャルYouTuberもいる。親和性が高い」(守安社長)
またヘルスケア事業では、健康情報を届けるスマートフォンアプリ「KenCoM」などで集めたユーザーのライフログ、その他の医療データを活用し、給付金と連動する「ヘルスケア型保険」を開発する。保険会社と組み、2019年度に第1弾商品をリリースするという。
18年度通期の業績予想は、売上高が1500億円(前年比7.6%増)、純利益が110億円(同52.1%減)の見通し。ゲーム事業や新規事業を中心に増収を見込む。
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