はやぶさ2、小惑星に照準 「日本からブラジルにある6センチの的を狙うのと同等」
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月14日、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」まで約750キロの地点に到達したと発表した。13日、搭載する望遠カメラが捉えた映像によると、リュウグウの大きさは約900メートルと「予想通り」。27日前後、リュウグウの高度約20キロの地点に到着する見通し。
JAXA宇宙科学研究所の吉川真さん(ミッションマネジャー)は「そんなに細長くはなく、お団子型というよりは少し角ばっているようにも見える」と説明した。赤外線カメラが捉えたリュウグウのライトカーブ(天体の明るさの時間的な変化)は7.6時間周期と、予想していた自転周期とほぼ一致した。
「日本からブラジルにある6センチの的を狙うのと同等」
現在はやぶさ2は、搭載したカメラでリュウグウを撮影しながら、進むべき軌道を推定する「光学電波複合航法」を使って接近している。地球から約3億キロ離れた約900メートルほどのサイズのリュウグウに到着させるのは「日本からブラジルにある6センチの的を狙うのと同等」(吉川さん)。はやぶさ2とリュウグウの軌道の誤差を、細かく修正する必要がある。
地球、はやぶさ2、リュウグウの“三角形”の位置関係は(1)地球に対するはやぶさ2の軌道、(2)リュウグウに対するはやぶさ2の軌道、(3)地球に対するリュウグウの軌道――という、それぞれの方向から求める。このうち(2)を光学航法で割り出す。
はやぶさ2からリュウグウを撮影すると、背景部分には、正確な位置が分かっている別の天体も映る。この天体からリュウグウに対するはやぶさ2の方位が分かる。はやぶさ2が見る位置を左右に振れると、立体視(ステレオ視)と同じ原理で距離感もつかめる。このように、はやぶさ2はジグザグに動きながらリュウグウを撮影、接近していく。
また、リュウグウの周りを公転する衛星も探した。産業技術総合研究所の神山徹さん(人工知能研究センター主任研究員)は「衛星が存在する可能性がある範囲は90キロ以内と予想している。はやぶさ2はその範囲を超えてリュウグウに近づくため、衝突の危険を排除できない」と説明する。
衛星探索は7日、4回にわたって実施。微小な衛星が放つ光を捉えるために、通常よりも感度の設定を上げ観測した。肉眼では見えない暗い星(12等級よりも明るい恒星)も数多く映ったが、「見慣れているメンバーが目を皿にして4回の画像を見比べた」(神山さん)。「星は動かないが衛星は動くため、動く物体がないかを画像解析の技術も使って探した」という。
神山さんによれば、その時点で検出可能な衛星(50センチより大きい衛星)は見つからなかったため、リュウグウの50キロ以内までは安全に接近できるという。リュウグウに接近するほど、より小さな衛星を探せるため、探索を続ける予定だ。
はやぶさ2は、7月末にリュウグウの高度約5キロ、8月に高度約1キロの地点から観測を行う。9~10月には小型ローバを投下し、小惑星の表面を直接観測。はやぶさ2も着陸し、表面の物質を採取する。さらに上空から銅の塊を打ち込み、リュウグウの表面に人工クレーターを作る世界初の実験を予定している。再度、はやぶさ2が着陸し、地下物質のサンプリングも試みる。これらの後、2020年末に地球へ帰還する計画だ。
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