アニメに潜むサイバー攻撃
「個別の11人事件」は現実に起こせるか 「攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIG」のゾクっとする話(3/7 ページ)
F: 今年4月23日、カナダのトロントで群衆に向けてバンが暴走し、意図的に歩行者をはね、10人が死亡、15人が負傷する事件がありました。犯人の名はアレク・ミナシアン、22歳。彼は犯行前にFacebookに「インセルの反抗はここに始まれり! われわれは全てのチャドとスティシーを打倒する。至高なる紳士! エリオット・ロジャー万歳!」という声明を投稿していました。
インセルとはInvoluntary celibateの略で、「不本意なる禁欲主義者」の意。つまり本人の意志とは関係なく女性に相手されないおそらく童貞の男性を意味します。チャドとスティシーは、恐れずにネットスラングに置き換えれば、「女性に不自由しない『イケメン』」と「よく遊んでいる女性を指す蔑称」のこと。そしてエリオット・ロジャーは、(自らをインセルだとは名乗りませんでしたが)似たような境遇にあり、2014年5月23日、カリフォルニア州で銃乱射事件を起こし6人を殺害、13人を負傷させた上で自殺した、当時22歳の男性です。米国ではこういったインセルの男性のよりどころとして、ネット上に掲示板が存在し、そこでは過激な発言を含めさまざまなやりとりが行われています。
K: この2つの事件が似ているということですか? 海外ではありますが、時系列を考えると作品をモチーフにしていると? でもトロントの場合は、当然ウイルスが原因ではないわけですし、自らの意志で事件を起こしたと考えるべきなのでは?
F: そうですね。モチーフではありませんし、事実、人間はコンピュータウイルスには感染しませんので、それで事件を起こさせることはできません。しかしミナシアンの事件を報じたBBCの記事には、別のインセルの人によるこんなコメントがあります。
「インセルの掲示板で怒りの感情に火を付ける扇動者がいる。彼らは反動的な運動に向かわせることが多い。一番多いのはオルト・ライトの運動だ」
この「掲示板で煽る」というのは日本でもよく見かける現象ですし、その結果、発火した人物が事件を起こし得るというのは過去の事例を見ても考え得るでしょう。つまり、ネットを母体として「個別の11人」のような事件は、起こり得ないわけではない。だとすれば、それは意図を持った攻撃として行い得るか否か、ということを考えねばなりません。
もし意図した攻撃だったとしたら、その目的は何でしょうか。
ゴーダがたくらむ攻撃の本質は何か
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
アニメに潜むサイバー攻撃
サイバー攻撃は、時代に合わせ、攻撃の対象や手口が変化してきました。しかし近未来の世界、最新技術へのセキュリティ対策はイメージしにくい部分もあります。そこで、そう遠くない未来、現実化しそうなアニメのワンシーンをヒントに、セキュリティにもアニメにも詳しい内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の文月涼さん(上席サイバーセキュリティ分析官)が対策を解説します。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
6
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
7
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
8
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
9
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR