迷惑bot事件簿

チケット購入アクセス「9割がbot」→“殲滅”へ イープラスの激闘を振り返る(3/3 ページ)

 この法律での「興行」とは、日本国内で行われる、映画、演劇、演芸、音楽、舞踊などの芸術、芸能またはスポーツを指す。この法律では、特定の日時や場所に加え、入場資格者か座席が指定され、不正転売の禁止が明記されるなどの条件を満たしたチケット(電子チケットを含む)「特定興行入場券」を、その興行主の事前の同意なく、販売価格を超える値で業として(※)転売することなどを禁止している。こうした条件を満たさないチケットは対象外となる。

(※)社会通念上、事業の遂行とみられる程度に行為を継続反復して行うこと。

 あくまで筆者個人の印象だが、各分野の専門家によって相当吟味された法案だと感じる。例えば、全ての興行チケットが本人確認必須になってしまっても困るだろう。「友達から都合が悪くて行けなくなったライブのチケットをもらったんだけど、今度の日曜に一緒に行かない?」というドラマで見るようなせりふも過去のものになってしまう。しかしこの法律の内容なら、興行主やプレイガイドは、チケットが持つ本来の利便性を必要以上に損なうことなく、法律が定める条件に従うことで高額転売が懸念される特定の人気公演のチケットを規制法の対象にすることができる。

 他方で、この法律の施行後でも、オークションサイトの自主規制の抜け道として用いられてきた策や、個人間の取引に模すなどの策を使って、高額転売を試みる人間がいずれ出てくるだろう。そこで期待されているのが、bot対策システムというわけだ。

 このような違反行為のいわば“入口”である、悪質な買い占め行為をbot対策システムで検知すれば、転売目的で不正な仕入れを行う業者の行為を規制し、後の立件の材料として記録する使い方も考えられる。さらにこの法律によって、想定される一連の違反行為の“出口”となる、特定興行入場券の不正転売を押さえることもできるようになった。チケットの適正な流通の確保では、この入口・出口での両輪の対策を回す取り組みが実質的な効果を発揮していくことになるだろう。

 幸い、イープラスのbot対策の発表をきっかけに、興行チケットを扱う多くの事業者が最新のbot対策の検討を開始している。来年以降さらに業界でのさまざまな対策が進むことを期待しよう。

 次回は、botを用いたフラウド(詐欺的行為)の実態などを取り上げる予定だ。

印刷する
SNSでシェア
SpecialPR

迷惑bot事件簿

さまざまなタスクを自動化でき、しかも人間より早く処理できるbot。企業にとって良性のbotが活躍する一方、チケットを買い占めるbot、アカウントを不正に乗っ取るbot、アンケートフォームを“荒らす”botなど悪性のbotの被害も相次いでいる。社会や企業、利用者にさまざまな影響を及ぼすbotによる、決して笑い事では済まない迷惑行為の実態を、業界別の事例と対策で解説する。

この連載の記事をもっと見る

この記事の著者

関連記事

こんなメディアも見られています

ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。

メールマガジンを配信中
メールマガジンを配信中

国内外の業界動向、AIやクラウドなどの最新技術、キャリア情報など今知りたい情報をまとめてお届けします。

いますぐご登録

本日の新着記事

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia NEWS SNS

X @itmedia_newsをフォロー

インフォメーション

ITmediaNEWSをフォロー

あなたにおすすめの記事PR