「静止画ダウンロード違法化」に反対 日本マンガ学会、「研究・創作を阻害する最悪の結果招く」
漫画の研究者などでつくる日本マンガ学会(会長・竹宮恵子氏)は1月23日、いわゆる「ダウンロード違法化」について、漫画やテキストを含む「幅広い分野の著作物を対象範囲に含めるべき」と文化庁の有識者会議がまとめたことについて、反対する声明を発表した。
著作物全般のダウンロードを違法化すると、2次創作や研究のためのダウンロードも制限されるため、「一般ユーザーの萎縮を招き、研究・創作を著しく阻害する最悪の結果となることが予想される」と危機感をあらわにしている。
映画・音楽の著作物については、違法にアップロードされたことを知りながらダウンロードした場合、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金を科す(親告罪)、いわゆる“ダウンロード違法化”が2012年に始まった。漫画(静止画)やテキストは違法化の対象外となったが、出版社などコンテンツ業界は政府に対して、静止画ダウンロード違法化の検討を求めてきた。
ダウンロード違法化の対象拡大について、文化庁の法制・基本問題小委員会で10月から議論が行われ、12月7日に中間まとめと論点整理案(PDF)が出た。案には、「著作物の種類・分野による限定を行うことなく、広くダウンロード違法化の対象範囲に含めていくべきとの方向性については、概ね共通認識が得られた」と書かれており、文化庁は今年の国会への著作権法改正案提出を目指している、と報じられている。
これについて、日本マンガ学会が今回、反対を表明。理由は以下だ。
(1)海賊版研究や2次創作研究が阻害される
(2)研究や創作のための記事や図版のクリッピングも違法になり、研究・創作の萎縮を招く
(3)静止画や文章は、違法アップロードかの判断が難しい
(4)「漫画村」のようなストリーミング方式の海賊版はまったく取り締まれないため、悪意ある侵犯者には効果がない。むしろ、一般ユーザーの萎縮を招き、研究・創作を著しく阻害する最悪の結果となる
また、「委員会のまとめは、著作物の私的使用を一方的な便益の受容・消費活動と限定してとらえている」と指摘。1次創作を「利用」して2次創作を行うなど、著作物の利用が「新たな著作物を創造する〈生産行為〉でもありうるという点が考慮されていない」とした上で、日本のマンガ文化は「こうした〈生産行為〉を基礎とすることで、世界的な発展を遂げて来た」とし、静止画ダウンロード違法化に反対している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
5
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
6
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
7
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
8
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
-
9
有識者はGoogleやX、Meta、ドワンゴを名指しで批判……総務省、偽広告や誹謗中傷に発信・拡散前の対策求める
-
10
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR