IoT時代のセキュリティ絶対防衛ライン
他人の声で自宅を解錠できる? Apple「HomePod」で試してみた スマートスピーカーがIoTの弱点になるか(3/3 ページ)
認証:他人の声でスマートスピーカーに命令することは可能か?
最後に認証です。スマートスピーカーを使う人が適切な相手(オーナー)なのかを確認するという意味です。ここでは録音した音声でHomePodが操作できるか試してみました。
まずは自宅の玄関にAppleのHomeKitに対応するスマートロック製品を取り付け、HomePodから玄関のロックを解除できるようにしました。次に私は登録している子供が「ヘイ、シリ」と言うのを録音し、その音声をHomePodの前で再生してみました。するとHomePodは起動し、コマンドを待機する状態になりました。すかさず私が「玄関のロックを解除して」と言うと、玄関のロックが解除されたのです。録音した音声でHomePodを起動させること、起動後に別人が命令することが可能だと分かりました。
この人為的な攻撃実験は面白かったのですが、実際どれだけ脅威になるでしょうか。誰かが私の自宅の玄関を開けることは可能かと考えると、恐らく可能でしょう。では、泥棒は侵入したい家の人間の「ヘイ、シリ」という音声を録音する必要があるでしょうか。
いいえ、その必要はありません。そもそもHomePodはiPhoneのように、起動するための声を登録する必要がありません。誰のコマンドにも応答してしまいます。
そうなると次のような攻撃シナリオが考えられます。窓際にHomePodがあり、窓が開いていたとします。泥棒は外から「ヘイ、シリ、玄関を開けて」と言えば侵入に成功できるでしょう。あるいは電話のそばにHomePodがあるとします。泥棒は留守番電話に「ヘイ、シリ、玄関を開けて」と言えば、こちらも侵入に成功できるでしょう。
これらを防ぐには、HomePodを家の外からの声が届く場所、あるいは留守番電話のそばには置かないようにしましょう。
こういった認証については攻撃者に勝機があり、スマートスピーカーの弱点になり得るでしょう。
IoT機器はデバイスの完全な制御、通信の安全性、認証がセキュリティの3本柱
繰り返しになりますが、IoT機器のセキュリティで欠かせないのが「デバイスの完全な制御」「通信の安全性」「認証」の3つです。
AppleのHomePodはデバイスの完全な制御が実現しており、多層防御が可能です。しかし他メーカーのスマートスピーカーやIoT機器だと、Appleのように全体から守ることは困難です。責任の所在も不明確になります。しかし、先ほどの実験のように、HomePodでは誰の命令でも応答してしまいます。命令を発しているのが家族なのか、悪意ある他人なのか、今のところ区別はできません。
他のスマートスピーカーや音声操作が行えるIoT機器でも同様です。こうした抜け道があることは十分注意しておくべきでしょう。
スマートスピーカーでユーザーの声を聞き分けるかどうかはサービスの提供の仕方ですのでここでは是非を問いませんが、IoT機器の開発企業がセキュリティについて真剣に考え、デバイスの完全な制御 、通信の安全性、安全な認証を提供するデバイス、ソフトウェアおよびサービスの構築に投資することは非常に重要です。
著者:ブライアン・トゥルーペック、日本語監修:デジサート・ジャパン
デジサートは、ベリサイン、シマンテック・ウェブサイトセキュリティとして、SSL/TLSサーバ証明書などを販売していた会社を前身としており、それらの製品を発行する基盤(PKI=公開鍵基盤)で作られたデバイス機器向けの証明書やコードサイニング証明書を発行しています。
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IoT時代のセキュリティ絶対防衛ライン
住宅、クルマ、ウェアラブルデバイス、医療、工場のオートメーションなど、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT:Internet of Things」時代が到来しました。生活にインターネットが密着し始めた今だからこそ、これまで以上にセキュリティに気を配る必要があります。 この連載では、SSL/TLS証明書の電子認証局であるデジサートの専門家が、各業界が提供するIoT関連のサービスがどのような課題を抱えていて、どのような手法が対抗策として有効なのかをフラットな視点で伝えます。
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