今さら聞けない「認証」のハナシ
私たちの「顔情報」はどう守られている? 生体認証のハナシ(2/5 ページ)
生体認証における身体的特徴データの保管について
前々回の記事でも書きましたが、現在実用化されている大抵の生体認証では、身体の特徴を数値化したデジタルデータを比較して判定しています。
例えばNeoFaceでは、瞳の中心や目頭や目尻の位置、鼻翼の左右の端、口の端の位置といった特徴点同士の距離や、位置関係から算出される角度などを数値化したデータを利用しています。顔画像を直接見比べているわけではありません。
生体認証においては、身体の各部位の画像をそのまま保管しているわけではなく、本来であれば保管する必要もないのです。
デジタルデータ化されていれば、もし情報漏えいしたとしても、不正利用者は身体的特徴をすぐには把握できないのです。その生体認証システムのデジタルデータへの変換方法を知っていて、デジタルデータから画像に戻す方法を編み出せば、やっと元画像に似た画像が入手できるといった具合でしょう。大変な手間がかかりますね。この身体的特徴のデジタルデータ化は、「パスワードのハッシュ化」と似ているなと感じました。
一方で、数値化していない画像をAIが認識する画像認識技術も発展してきています。この技術を利用した生体認証も実現できるでしょう。この場合、画像そのままを比較・判定することが可能なので、身体的特徴をデジタルデータ化する技術が不要になります。しかし、顔画像をそのまま保管(※1)しているので、情報漏えいした際には、不正利用者がすぐに身体的特徴を把握できてしまいます。
※1:実際には、情報漏えいを考慮して、暗号化して保管することが考えられますが、その場合でも暗号化キーの保管の課題があります。これもパスワード保管の課題と同様ですね。
つまり、身体的特徴の画像をそのまま認証に使う方式よりも、身体的特徴をデジタルデータ化して認証に使う方式のほうが、情報漏えいに強いといえます。
前述のSupremaの案件では、顔認証用の情報と顔画像の両方が保管されていたようですが、なぜ顔画像の保管も必要だったのかまでは分かりません。認証以外の用途があったのでしょうか。必要なかったのだとしたら余計なデータを保管して、利用者のプライバシーをリスクにさらしていたといえます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
今さら聞けない「認証」のハナシ
認証セキュリティ専門企業であるパスロジが、専門用語が飛び交いがちなセキュリティの知識・話題から、「認証」関連分野を中心にできるだけ分かりやすく紹介します。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
6
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
7
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
8
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
9
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
-
10
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR