ヤフーがZOZO買収に至った理由とは? ヤフー・ZOZO・前澤氏、三者三様の思惑(2/3 ページ)
ZOZO澤田新社長「前澤体制はトップダウン経営だった」
ZOZOの社長に就任した澤田氏は、コンサルタンティング会社などを経て08年にスタートトゥデイ(当時)に入社し、ZOZOTOWNの事業責任者を長く担ってきた人物。会見では「私はリアリストで、『ニュートラル』『安定感』がモットー。前澤と真逆ですね」と自己紹介した。
ヤフー傘下に入ることを決めた理由については、「前澤は既成概念をぶっ壊して進んでいくカリスマ経営者だった。その結果として、今のZOZOがあるというのは事実。だが会社はすごく大きくなり、業界・社会に与える影響も大きくなった。今は革新だけでなく、安定感が重要だ。安定的に成長するためのパートナーとして、ヤフーがベストだと判断した」と説明した。
今後の具体的な経営ビジョンは明かさなかったが、「前澤によるトップダウンの経営から、社員1人1人の力を生かす経営にする」という。
澤田氏は「今のZOZOは、前澤の強烈なインスピレーション、リーダーシップで作り上げてきた。だが、それに振り回されながら、社員たちは地に足を付けて、事業を磨き上げてきた。華やかな経営者の裏で、足場を固めることが大事であることを私たちは知っている。それこそが私たちにとって誇れるものであり、非常に大きな武器だ」と説明。前澤氏の方針とは異なり、堅実な路線を進むことを明言した。
ZOZO前澤前社長「夢のような時間だった」
苦楽を共にした澤田氏の「トップダウンの経営だった」という説明を受け、前澤前社長は「自分自身でもそう思う節はある。僕は自分の好きなことを仕事にしたいという思いで突っ走ってきた。MBA(経営学修士)など、難しい勉強をしたわけではない。好きなことを突き詰めていたら、気付いたら社長になり、上場までしてしまった。本当に夢のような時間だった」と打ち明ける。
「僕の経営手法は感性に基づいている。時代の匂いや皆さんの動きや考え方、雰囲気を野性的に感じ取って事業に生かすが、時に読み違えるし、調子が悪い時は失敗する。(現場スタッフの)チーム力、総合力も生かし切れていなかった。現場の裁量を十分に与えてこなかった。抜本的に変わるタイミングだった」と、これまでの経営を振り返った。
前澤氏が「変わるタイミングだった」と考えていた理由は、今のZOZOにはいくつかの課題があり、現状のままでは解決が難しいためだ。ZOZOTOWNをはじめとする同社サービスは、ファッション好きの若者がメインの顧客で、服に興味がない層や30代以上の年齢層を獲得できていなかった。さらなる成長に向けては顧客基盤の拡大が不可欠であるため、新社長によるロジカルな経営のもとでヤフーと提携し、「ヤフーとZOZOでお互いの弱点を補い合い、強いところを伸ばせるような関係になれればいい」と判断したという。
辞任を決めたのは9月に入ってから 今後は月旅行の準備と起業に専念
ヤフーとの話し合いは以前から進めていたが、辞任を決めたのは9月に入ってからだという。前澤氏は「冷静に客観的に考えて、僕よりいい新社長がすぐそばにいたことに気付いた。ZOZOに何が必要かを考えた時に、僕が退くべきだという結論に至った。ヤフー側からは続投を要請されていたが、自分の野性的な勘で『居座ってもいいことはない。きれいに潔くすべきだ』と感じたので退任を決めた」と説明した。
前澤氏は12日、Twitter上に「新社長に今後のZOZOを託し、僕自身は新たな道へ進みます」と投稿していた。会見で明かしたところによると、進む道とは「月旅行の準備と新しい事業の立ち上げ」だという。
「23年に民間人初の月旅行に行く」という目標を掲げていた前澤氏。今後は実現に向けて、宇宙飛行士の指導のもとで訓練や準備をしたり、英語やロシア語を学んだりするという。「月に行く前に一回宇宙に行く。近場に行く」と、23年に先駆けて短い距離での宇宙旅行を行うことも明かした。
起業後の事業プランは未定だというが、「ただもうかるだけのビジネスはやりたくない。ZOZO時代のようにアパレル一本ではなく、複数の事業を並行して進める。(月旅行とビジネスという)2つの道をこれから一生懸命に生きていきたい」と語った。ただ、今後もこれまでの自由な生き方を変えるつもりはないといい、「43歳になり人生は折り返し地点だが、世界平和というビジョンを持ったまま、いかがわしくロックな魂を持ったまま生きたい」と話した。
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