小田急電鉄、MaaSアプリを10月末に提供 タクシー、シェアサイクル含む経路検索が可能 電子チケットにも対応
小田急電鉄は10月7日、ITを活用して交通サービスをシームレスにつなぐ「MaaS」(Mobility as a Service)の概念に基づくアプリ「EMot」(iOS/Android)を10月末にリリースすると発表した。鉄道、バス、タクシー、シェアサイクルなどを組み合わせた経路検索機能や、企画乗車券などの電子チケットをアプリ上で発行する機能などが特徴。少子高齢化に伴い、公共交通機関の利用者減少が想定されるため、MaaSの実用化によって業界を活性化する狙い。
正式サービスではなく実証実験としての提供で、利用期間は2020年3月までの予定。ダウンロードは無料で、実験終了までに2万ダウンロードを目指す。反響や利用状況を踏まえ、サービス継続を検討する。
経路検索機能では、目的地を入力して検索すると、JRグループなど鉄道各社、ドコモ・バイクシェアが運営するシェアサイクル、JapanTaxiやディー・エヌ・エーが運営するタクシー配車アプリなどの中から最適な移動手段を表示する。
電子チケットの発行機能は、有料の企画乗車券の他、駅ナカ飲食店で利用できる割引券、一定の条件を満たした場合に付与する無料乗車券などに対応する。有料チケットのアプリ内決済機能も持つが、決済方法はクレジットカードのみ。
一連の機能は、経路検索サービス「駅すぱあと」運営元のヴァル研究所と共同開発した、多様な事業者の交通データを収録したデータ基盤「MaaS Japan」をベースにしている。業界の活性化に向け、MaaS Japanを他社に開放し、他社のMaaSアプリ開発を支援することも視野に入れている。
「箱根フリーパス」電子版発行などの企画も
実証実験では、電子チケット機能の有用性を検証するため、小田急電鉄がこれまで紙で提供していた「箱根フリーパス」(約4500~6000円)の電子版をアプリ上で発行する。箱根エリアで利用できる、箱根登山鉄道やロープウェイなどが乗り放題になるチケット。ユーザーはアプリ画面を現地のスタッフに見せることで乗車できる。
実験ではこの他、小田急電鉄のグループ企業が運営する飲食店「おだむすび」「箱根そば」「HOKUO」の商品を1日1回食べられる定額制サービスのチケットをアプリ上で提供する。実施場所は新宿駅と新百合ヶ丘駅の予定。ユーザーは事前に決済を終えた上でアプリの画面を店員に見せると商品をもらえる。
価格は10日券が3500円、30日券が7800円。提供する商品は500円相当であるため、毎日利用すると前者は1500円、後者は7200円ほど得だという。
新百合ヶ丘駅前にある、小田急電鉄が運営する商業施設「新百合ヶ丘エルミロード」で2500円以上の商品を購入した顧客に対し、同駅から自宅の最寄り駅までの無料バスチケットをアプリ上で発行する取り組みも行う。
実験期間中に他の鉄道事業者と提携し、アプリ上で他社の電子チケットも発行する予定。10月末から静岡県浜松市のローカル鉄道「遠州鉄道」のチケットに対応することが決まっている。九州旅客鉄道(JR九州)と組んで実験を行う計画もあるという。
由来は「Emotion」と「Mobility」
記者発表会に登壇した小田急電鉄の星野晃司社長は、「『Emotion』と『Mobility』を組み合わせてEMotと名付けた。パートナー企業とともにサービスを作り上げるため、小田急の社名を付けず、当社のラインカラーではないイエローをイメージカラーに採用した。日々の行動の利便性をより高め、新しい生活スタイルや観光の楽しみ方を見つけられるアプリにしたい」と語った。
経営企画本部の久富雅史氏(経営戦略部長)は、飲食店を定額で利用できるサービスなどを行うことに触れ、「生活にも根付いているのが小田急のMaaSの強み。飲食や購買とセットにすることで、移動の付加価値を高めたい」と説明した。
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