なぜ「VR動画」と「360動画」を分けるべきなのか(1/2 ページ)
先日、Twitter上で「360動画をVR動画と呼ぶことには抵抗がある」という話をつぶやいたところ、反対意見も含め、かなりの反響が寄せられた。
この件については、今も「360動画は360動画と呼ぶべきで、VR動画と単純化すべきでない」と考えている。
同時に、「AI」という言葉の使い方についても、現状は野放図過ぎるのではないか、と危惧している。
今回はこれらの点について、あらためて筆者の考えをまとめておきたい。
この記事について
この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年2月10日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額660円・税込)の申し込みはこちらから。
定義がある「360動画」という言葉を使うべき理由
まず分かりやすい例からいこう。
筆者は「360動画」を「VR動画」というべきではない、と思っている。その理由はシンプルで、「360動画」という言葉がちゃんと存在しているからだ。英語だと「360 Movie」、日本語だと「360動画」「360度動画」など、表記に揺れはあるものの、ちゃんとそのものズバリを指す言葉がある。だから、それを使った方が誤解はないのではないか、という趣旨だ。
現在の360動画では、魚眼レンズなどを使って撮影された映像を円柱に巻き付けたような四角い映像へと変換し、それをさらに球に貼り付けて見せる「正距円筒図法」(equirectangular)や、プラネタリウムなどのドーム型シアターで使われることの多い「ドームマスター」、3DCGのマッピングなどに使われる「キューブマップ」などの手法がある。どれも、自分を中心に周囲を見回すような映像になる。
これは、VRの持つ「その場にいる臨場感」を与える手法として非常に有効かつ撮影コストも低い。極めてバランスのとれた技法だと考えている。なので、「360動画はVRではない」という意図は全く、全く(大事なので2回言った)ない。
だが一方で、「VR動画」といった場合には、また別の可能性があるとも思う。360動画の持つ「自分が中心になった周囲の映像である」というのは一つの制約である。全てを立体データ化し、その中を自由に動ける映像については「VR動画」ではあるが「360動画」とはいえない。フォトグラメトリーや機械生成など、モデリングを低コスト化する技術が広がっていくと、世界全体を仮想空間の中に構築する「デジタルダブル」的なものも増えていくだろう。
では、それらが普及した時、360動画とVR動画の使い分けはどうするのだろうか?
360動画はVR動画の部分集合であり、しかもちゃんと「360動画」という言葉があるのだから、現状から区別して使うべきだ。
これが筆者の意見である。
補完的に、一つ情報を提供しておきたい。
以下の3つは、「Googleトレンド」において、過去12カ月の間「360動画」(360 Movie)と「VR動画」(VR Movie)がどれだけ検索されたかを、日本・米国・全世界で比較したものである。
日本ではVR動画が圧倒的に多いものの、他国では360動画とVR動画がちゃんと同居している。
この理由は何となく分かっていて、YouTubeがこの種の動画を「VR動画」ではなく「360動画」と呼んでいるからだ。
海外でも360動画という言葉が市民権を得ている以上、日本でも「まとめてVR動画」という扱いは正しくないのではないか。
将来のためも考えて、「360動画は360動画と呼ぶべき」と考える理由はここにある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
BASE子会社の漏えい、約2335万人分に 209万人分はクレカ番号「先頭6桁と下4桁」「有効期限」も
-
2
祝・連載再開! 「キャプテン翼」大好きマンガ家による最新家庭用ゲーム“魂のプレゼン”
-
3
タイムズカー、退会後も7年間保管していた免許証画像を全削除へ 約660万アカウント分の漏えい受け
-
4
Microsoft、社内エンジニア数万人を対象に「Claude Code」「Copilot CLI」導入の影響を分析 生産性どう変わる
-
5
人気Web制作ツール「Studio」全ユーザーの情報漏えいか フォームに送信された内容、外部APIキーなども
-
6
「『楽天カード公式』から詐欺メール」報告相次ぐ ドコモメールに公式マーク付きフィッシング、一部企業の認証設定に脆弱性
-
7
コミックシーモア、不正アクセスの可能性でサービス停止 メンテ終了時期は未定
-
8
「セキュリティソフトも売ってるのに」ソースネクスト会員情報漏えい、パスワード含む最大2252万件 API不正利用される
-
9
コードを書かずに“自分専用IME” 日英を自動切り替えできる「Meltype」にAI変換を載せてみた
-
10
「skyticket」クレカ情報も流出、カード番号など最大6140人分 「流出なし」の初報を訂正
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR