IT基礎英語
insightの翻訳に求められる洞察力
この言葉が出てくるたびに、しっくりくる日本語が思い浮かばなくて頭を抱える、という英単語が幾つかある。データサイエンスやビッグデータなどの情報分析に関連して使われる「insight」という単語がその1つ。
insightの日本語訳を英和辞典で調べると、ほとんどが「洞察」「洞察力」などの単語しか出てこない。例えば「this technology will help businesses extract more actionable insights from data」(某IT大手のデータベース関連技術の説明文)という文章をGoogle翻訳で日本語にすると、「このテクノロジーは、企業がデータからより実用的な洞察を引き出すのに役立ちます」。でも人間の翻訳者としては、洞察って引き出すもの?という違和感が残る。実際、この手のinsightは、そのまま「インサイト」と翻訳されることも多いのだけれど、それも個人的には格好悪いと感じていて、できれば使いたくない。
insightは分解するとin・sight、つまり「見えているものの内側」のこと。データ分析の分野の用語解説の中に、こんな定義があった。
Insight is gained by analyzing data and information to understand what is going on with the particular situation or phenomena. The insight can then be used to make better business decisions.(米ベネディクティン大学)
Insightとは、データと情報を分析して、特定の状況または現象について何が起きているかを理解することによって得られるもの。そのinsightは、より良いビジネスのための意思決定に利用できる。
There’s also a stricter definition of insight: Not only is it a previously unknown fact, cause or relationship that we only learn through analysis but also a discovery that we can use to boost business or increase profits.(ソフトウェアメーカーNewgrove)
Insightにはもっと厳密な定義もある。分析を通じてのみ知ることのできる、それまで分からなかった事実や原因、あるいは関係のこと。さらにはビジネス促進や利益増大に利用できる発見のこと。
例えば「Insights from one year of tracking a polymorphic threat」というMicrosoftの報告は、高度な手口を使うマルウェアを1年がかりで追跡調査した結果、このマルウェアの実態をうかがい知ることができたという内容だった。
要するにinsightは、データを分析したり詳しく調べたりした結果、その分析で引き出された情報や、明らかになった事象を指す時に使われる。一言では言い表しにくいけれど、日本語では「知見」という言葉を当てはめることが多いようだ。
ただ、英語から日本語に翻訳した文章では依然として「洞察」「インサイト」としているものも多く(実は私もやったことがあります(汗)、そうするといかにも直訳的な文章が出来上がる。もっとしっくりくる日本語があったら、誰か教えてください。
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ITmediaで海外情報を長年翻訳している鈴木聖子さんが、IT関連記事に登場する英文の中からよく見かける単語や気になった表現について紹介するコーナーです。
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