IT基礎英語
社会的関係を悪用する“social engineering”の手口とは
取引先企業の幹部になりすましたメールを送って連鎖的に人をだます“social engineering”の被害が世界で広がっているというニュースがあった。人と人との社会的関係を悪用するのがsocial engineeringと呼ばれる詐欺の手口。同じsocialでも、新型コロナウイルス対策のsocial distancingと違って、こちらはたちが悪い。
「engineer」(エンジニア)といえばもちろん、物事を作り上げる人のこと。そして「engineering」(エンジニアリング)は作り上げる行為を意味する。この言葉に、社会や社交など人と人との関係を表す「social」を付けたsocial engineeringは「社会工学」という学問の意味もあるけれど、ITセキュリティ用語の「ソーシャル・エンジニアリング」はそれとは少し異なる。
social engineeringの詐欺師たちが作り上げるのは虚偽の世界。狙った相手に照準を合わせて入念な下調べを行い、その人物に関する情報をかき集め、社会的関係を利用して相手をだまそうとする。
最近では相当手の込んだsocial engineeringの手口が横行しているらしい。セキュリティ企業のGroup-IBによると、今回発見されたのも、まさにそんな手口だった。
The threat actors leverage perfectly orchestrated social engineering technique by “persuading” people holding significant corporate positions to open a non-malicious PDF email attachment coming from an authentic address in their contacts.(Group-IB)
脅威集団は完璧に仕立て上げたsocial engineeringの手口を利用して、企業の要職にある人物を「説得」し、連絡先に登録されている正規のアドレスから届いた電子メールに添付したPDFを開かせていた。
当然ながら、「怪しいメールの添付ファイルを開いたり、リンクをクリックしたりしてはいけない」という常識は多分、誰でも知っている。そこでsocial engineeringを仕掛けてくる相手は、いかに怪しく見せないかに知恵を絞る。
今回の手口では、企業幹部や経営者の電子メールアカウントが不正侵入され、そのアカウントから詐欺メールが送信されていた。受け取った相手は、いつも連絡を取り合っている大切な取引先の幹部からメールが届いたと思い込む。しかも添付のPDFファイルは、Microsoftの正規サービスのファイル共有通知そっくりに作り込まれていて、取引先の社名や幹部の氏名まで入っていた。
こうした手口にだまされて不正なファイルを開いたり、リンクをクリックしたりすれば、マルウェアに感染して重大な情報が流出する恐れもある。
人の不安に付け込んだり、誰もが関心をもつニュースや話題に便乗したりするのもsocial engineeringの常套手段。今は新型コロナウイルス騒ぎに便乗して保健機関をかたるメールを拡散させたり、マスク販売に見せかけたWebサイトを開設したりしてだまそうとする手口が横行している。
こういう手口こそ、社会的距離を置くsocial distancingや、社会から排除するsocial distanceで対抗したい。
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ITmediaで海外情報を長年翻訳している鈴木聖子さんが、IT関連記事に登場する英文の中からよく見かける単語や気になった表現について紹介するコーナーです。
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