「あくまでもお酒」から「飲用不可」へ 酒造所の高濃度アルコール製品に変化
アルコール消毒液の代替品として、酒造会社が相次いで高濃度アルコール製品を発売する中、そのラベルにちょっとした変化が起きている。4月に発売した製品は「お酒」と書かれていたが、5月に入ってから「飲用不可」とする製品が増えた。理由は酒税だ。
医療現場で手指消毒用のエタノール不足が深刻化していた3月、明利酒類(茨城県水戸市)の「メイリの65%」や菊水酒造(高知県安芸市)の「アルコール77」が相次いで登場した。当時は高濃度エタノール製品であっても法制上の分類は「お酒」のため、「消毒や除菌を目的に製造されたものではありません」という注意書きを入れなければならなかった。
3月23日、厚生労働省は時限措置として、医療機関が70%以上の高濃度エタノール製品を手指消毒に用いることを認めた。4月22日には60%台でも一定の効果が認められたため対象製品を拡大。これにより酒造会社の高濃度エタノール製品も多くが「消毒用エタノールの代替品として手指消毒に使用できる」と表示できることになった。
しかし、お酒である限りは酒税がかかる。例えば若鶴酒造(富山県砺波市)が4月13日に出荷を始めた「砺波野(となみの)スピリット77」は300mlで880円(税別、以下同)だが、このうち231円が酒税。笹一酒造(山梨県大月市)の「笹一アルコール77」は500mlで、小売価格の1200円のうち385円が酒税だ。手指消毒のために高濃度アルコールを大量に消費する医療機関には負担が大きい。
こうした要望を受け、国税庁は5月1日、厚生労働省の時限措置が有効な期間に限り、「高濃度エタノール製品に該当する酒類のうち、一定の要件を満たし、飲用不可の表示を施したものについては酒税を課さない」と発表した。これが「飲用不可」表示の高濃度アルコール製品が出てきた理由だ。
久米仙酒造(沖縄県)は5月8日、「消毒用エタノール 78度」と「消毒用エタノール 67度」を発表した。価格は500ml・78度が1060円で(67度は956円)、5月25日以降に発送を始める。商品説明には「消毒用エタノールは、酒税のかからない飲用不可商品です。新型コロナウイルス対策のための手指消毒用、除菌用として使って下さい」と書いた。
天盃(福岡県朝倉郡筑前町)が5月13日に出荷を始める「TENPAI66」は、ラベルに大きく「飲用不可」と表示した。66%の高濃度エタノールで、価格は500mlで1000円だ。
15日までの移行期間は、これまでのラベルのまま酒税なしで販売できるケースもある。前述の若鶴酒造では、66%の「砺波野スピリット 66」を酒税なしの1本664円で医療機関などに向けて販売している。今後、ラベルを「飲用不可」に変更して継続的に出荷する考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
6
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
7
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
8
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
9
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
-
10
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR