ブロックチェーンシステムをお手軽構築してみた Amazon Managed Blockchain体験記(4/5 ページ)
中央集権ではない
「じゃあ、ブロックチェーンの認証局とかってどこにあるの?」という話だが、それはAmazon Managed BlockchainでEC2インスタンスには登場しない、同一リージョンのどこかのバーチャルサーバに作られており、隠蔽されていて、そこにアクセスすることは不可能である。今回のサンプルブロックチェーン構築体験では、クライアントサーバ構成などに慣れきっている自分の常識と多少闘う必要があった。とにかく、中央集権でないのだ。それを実際作ってみて、恥ずかしながら、初めて実感した。
続いて、クライアントノードの環境設定を行う。クライアントノードがどのブロックチェーンネットワークを利用するか、どのピアノードと通信するか、どのTLS証明書を使うか、ピアサービスのエンドポイントなどを設定する。加えて、ブロックチェーンの認証局(CA)にて、メンバー(今回のお試しは一人でやる作業なので当人しかいない)にブロックチェーンネットワーク管理者権限を付与する。管理者権限を持つと、チャネル(ざっくりチェーン内通信のこと)作成、チェーンコード(ざっくりプログラムのこと)をインスタンス化することができる。
そして、ブロックチェーンのチャネル設定(configtx channel configuration)を実際のメンバー名で更新する。チャネル設定が更新されると、その更新は「ブロック0(genesis block)」となる。文字通り、送金などトランザクションデータ一つ一つの“ブロック”が、数珠つなぎになったチェーンがブロックチェーンであるならば、チャネル設定更新は「創世記(genesis)」にあたるのだ、いい命名だな、と小さな感動を覚える。
チャネルはDockerを用いて実装され、mychannel.blockというファイル作成される。チャネルが作成できたらピアノード(今回はクライアントノード一つなのでそれしか参加できないのだが)をチャネルに参加させ、ピアノードにチェーンコードをインストール、チャネル上でチェーンコードをインスタンス化すると、クエリ実行、トランザクション実行ができるようになる。
さて、ここからがエミール・バイゼルさんのチュートリアルの素晴らしいところで、このブロックチェーンを利用したユーザーインタフェースをわれわれが体験することになる。サンプルアプリケーションは「非営利団体(NGO)チェーンコード」というもので、寄付のブロックチェーンアプリケーションである。
手順通りに、NGOチェーンコード(Node.jsで書かれている)をピアノードにインストール、チャネル上でチェーンコードをインスタンス化、RESTful APIでFabric SDK経由でブロックチェーンのチェーンコードと対話してチェーンコード機能をREST APIとして公開できるようにすると、ブラウザから作成したNGOブロックチェーンにアクセスできる。
架空の非営利団体のリスト、それらの団体に寄付を行うことができる。画面の上部にあるBlockアイコンがブロックチェーンの全トランザクションを示しており、これらのブロックをクリックすると、誰がどの団体に寄付したか、寄付を受けた団体が資金をどのように使っているかなど、全てのトランザクションを可視化できる。
以上が、筆者の今回の「Amazon Managed Blockchainを用いたブロックチェーンシステム構築お手軽体験」だ。ブロックチェーンは主に金融界や登記など不動産業界で注目される技術と思われがちであるが、改竄(ざん)防止目的で音楽における著作権保護にも使われている事例がある。しかし、具体的にどのようにブロックチェーンが活用されるのか、真相はあまり見えていない現状ではないだろうか。これからもこのテーマを追いかけていきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
5
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
6
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
7
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
8
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
-
9
有識者はGoogleやX、Meta、ドワンゴを名指しで批判……総務省、偽広告や誹謗中傷に発信・拡散前の対策求める
-
10
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR