この頃、セキュリティ界隈で
“犯罪者チャット潜入捜査”成功させた欧州警察のマルウェア大作戦 暗号破って通信を傍受、数百人逮捕(2/2 ページ)
Europolの発表によると、きっかけは、フランスの捜査当局が犯罪組織に対する捜査の過程でEncroChatのスマートフォンを発見したことだった。当局は同社のサーバがフランスで運用されていることを突き止め、2017年から捜査を開始。オランダなどと連携してEncroChatの暗号を破り、通信の内容を傍受することに成功した。
EncroChatが世界中の犯罪組織に広く利用されていることをつかんだフランスの捜査当局は、捜査を通じて得た情報を、欧州司法機構(Eurojust)を通じて各国と共有した。
これを受けて各国の捜査当局が捜査に乗り出し、英国では容疑者746人を逮捕して、多額の現金や武器弾薬、大量の麻薬などを押収。オランダでも容疑者100人以上、スウェーデンやノルウェーでも多数が逮捕された。
Vice Motherboardによると、EncroChatのスマートフォンはAndroid端末を改ざんしたもので、独自の暗号化メッセージングプログラムがインストールされていた。GPSやカメラ、マイクなどの機能は取り除かれており、暗証番号を入力するとデバイスを消去して、普通のAndroid端末に見せかけることのできる仕組みも実装していた。
ところが5月になって、端末を消去する機能が使えなくなる問題が発生した。端末が捜査当局にハッキングされ、マルウェアを仕込まれていたことが原因だった。EncroChatは更新プログラムを配信して問題を解決しようとしたが、すぐに再度の攻撃に遭い、ハッキングはエスカレートする。捜査当局の潜入を察知したEncroChatは6月13日、顧客に警告を出し、電源を切って端末を物理的に破壊するよう呼び掛けた。
EncroChatはMotherboardに寄せた声明の中で、自社サービスについて「自分の情報を守りたいと思うあらゆる組織や個人に対し、信頼できるセキュアなサービスを提供している」と主張している。しかしフランスの当局は、同国内のEncroChat顧客の90%以上が犯罪に関与していると推測する。
欧州各国の連携捜査が実ってEncroChatのサービスは使えなくなり、通信手段を断たれた犯罪組織は混乱状態にあるという。しかし、こうしたサービスを手掛ける企業は同社だけにとどまらない。EncroChatと競合する「Omerta」という企業はすかさず、EncroChatの元顧客に照準を据えた宣伝キャンペーンに乗り出したとVice Motherboardは伝えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この頃、セキュリティ界隈で
海外のセキュリティ関連ニュースを追い続けている鈴木聖子さんによる、最近のセキュリティニュースブリーフィング。隔週でお届けします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR