サイバーセキュリティ2029
デジタルガジェットとしてのマイナンバーカードを考える(3/3 ページ)
マイナンバーカードを持ち歩くべきではないという現実
マイナンバーカードが明るい未来を作る……と言い切りたいところですが、このためにはスマートフォンとマイナンバーカードを持ち歩き、何らかのWebサイトにログインするたびに、カードをスマートフォンのNFCリーダーにかざさねばなりません。これはそれなりにめんどくさいことですし、何よりもマイナンバーカードを物理的に持ち歩く必要があります。
ここで問題なのは、マイナンバーカードに「マイナンバー」が記載されていることです。マイナンバーカードとマイナンバーは厳密には異なるもので、いろいろとセキュリティ的に問題視されているのは、12桁のマイナンバーです。これは漏えいしないように気を付けなくてはなりませんし、行政機関、雇用主以外はコピーを取る、記録/保管をすることはできません。おそらく、日本で生活する上で最も知られてはならないとされる情報です。
マイナンバーカードには、なぜかその番号がしっかり記載されています。余談ですが裏面のQRコードがマイナンバーそのものですので、マイナンバーが記載された裏面は黒塗りにしたとしてもSNSに上げてはいけません。デジタル的に優れた機能が付いているので、マイナンバーが記載されていなくても良さそうなものですが、致し方ありません。
そうなると、マイナンバーが記載されておらず、かつマイナンバーカードの機能を利用でき、さらにスマートフォン時代に便利な仕組みがあれば、いろいろと解決するのではないかと考えられます。実はその仕組みが検討されつつあります。2021年3月に開催された第5回「マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載等に関する検討会」においては、同じくパスワードをなくそうと技術的なアプローチを続けているFIDOアライアンスが、このマイナンバーカードの公的個人認証サービスをスマートフォンに搭載すべく、さまざまな課題とその解決方法を提案しています。
スマートフォンには生体認証の機能もあるので、マイナンバーカード単体よりも安全に認証ができるのです。この資料は非常に分かりやすいので、興味のある方、パスワードをいますぐにでもなくしたいと思っている方はぜひご覧ください。
- 総務省|検討会等|マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載等に関する検討会(第5回)
- 資料5 マイナンバーカードの機能を利活用した民間IDの認証におけるセキュリティと使い勝手の高いレベルでの両立に向けて(PDFへのリンク)
今のところ、個人の身元を保証する手段のうち、それなりに確かな方法は、それなりに身元確認がしっかり行われ、定期的な支払が発生し、住所確認も行われている携帯電話事業者によるものなのではないかと思います。携帯電話事業者が身元を保証できればサービスをフルに利用できるという仕組みは、すでにLINEが年齢認証で活用しています。先日はMVNO事業者の一部でも同様の処理が行えるようになったというニュースがありました。
同じように、身元をデジタルにはっきりさせるには、政府に近い組織がそれを担う必要があるでしょう。それこそが、公的個人認証サービスであり、いまのところはマイナンバーカードという物理的なガジェットになるはずです。
便利だけど、いまは肌身離さず持ち歩くにはちょっと問題があるアイテム。私は思わずリリース当初に飛びついてみたのですが、それなりに面白く、マイナポイントやe-Taxなどでメリットも感じたりしています。将来的には悩ましいパスワード管理/本人認証において一発逆転もあり得る、優れたデジタルガジェットだと思っているのですがいかがでしょうか?
こういった不器用なガジェットこそ、愛せるような気がしませんか? しませんかね……orz
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2020年代の終わりまで、自分の身の回りのコンピュータセキュリティを安全に保つにはどうしたらいいのかを考える連載です。
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