フリート機能が“ツイッタラー御用達”で終わった理由を考える
米Twitterが、24時間で消える投稿機能「フリート」(Fleet)を8月3日(現地時間)で終了すると発表した。2020年3月にテストを始め、日本でも11月から提供していたものの、「ツイートをためらう利用者の背中を押すために開発したが、ふたを開けるとすでにツイートを楽しんでいる人たちが自分の投稿を広めるために使っていた」という。
要するに新規ユーザー獲得や、これまでTwitterで情報発信してこなかった人たちに向けた施策だったのに、結局既存ユーザーにしか使われなかったと取れる。なぜ本来のターゲットに届かなかったのか。それはフリートの特徴と、Twitterの目的がかみ合わなかったためと考えられる。
「投稿をためらう人」よりも「投稿に積極的な人」向けに実績あり
フリートは、通常のツイートとは別で、テキストや写真、動画などを貼り付けたコンテンツを期間限定で投稿できる機能だ。投稿から24時間たつと内容は自動で削除され、後からは閲覧できなくなる。写真SNS「Snapchat」が13年に実装し、その後「Instagram」やYouTubeなども追従した、24時間で投稿が消える「Stories」に近い機能で、UIも似ている。
中でもInstagramでは投稿機能の一つとして定着しており、さまざまな企業やインフルエンサーが情報発信に日々活用している。しかし、Instagramなどが公開期間を限定した投稿機能を載せている目的が「投稿をためらう利用者のため」かというと、そうではなさそうにみえる。
例えばYouTubeの「YouTube ストーリー」は、チャンネル登録者数が1万人を超えるユーザーのみ使える機能として提供している。投稿が消去される時間も24時間ではなく7日間で、どちらかといえばクリエイターが自身のコンテンツなどを宣伝する機能といった意味合いが強い。
Instagramの「ストーリー」も同様だ。Instagramは機能の発表当初、ストーリーについてTwitterと同じく「日々のなにげない瞬間を気軽にシェアする機能」としていた。一方で、「(この機能を使うことで)投稿が多すぎないか心配する必要はありません」と強調しており、どちらかといえばもともと投稿の多い人に向けた機能にみえる。
実際、Instagramは後に自分のストーリーを保存したり、それをプロフィールに掲載したりできる機能を追加している。「24時間で消えるから気軽に投稿できる」といった強みを削ぐ機能だが、たくさんストーリーを投稿する人が、お気に入りのものを保存しておくのには便利だ。このように、Instagramはストーリーを投稿が多い人のための機能と割り切っていったと考えられる。
つまり、フリートのような公開に時限を設ける投稿システムは「積極的に情報発信したい人」が活用してきた実績こそあれど、Twitterがターゲットにしていた「投稿に消極的な人」に向いていないことは、こうした類似事例から想定ができてもおかしくはなかった。
コメントがDMに届く仕様にも問題か
ターゲティングだけでなく、フリートの仕様にも問題がないわけではなかった。フリートは他ユーザーの投稿に対してコメントやスタンプを送れる機能を搭載している。ただし送ったコメントやスタンプは、投稿者にDM(ダイレクトメッセージ)として送られる。
Instagramのストーリーも同じ仕様のため、Twitterも先例をまねたのかもしれない。この仕様も、投稿に積極的な人には問題ないかもしれないが、ツイートに踏み出せない人を後押しするには余計な機能だった可能性がある。
例えばこれまでツイートをしたことがなかったTwitterユーザーが、フリートで投稿をしてみたとする。フリートは基本的に、非公開アカウントでなければ自分のフォロワー以外も閲覧できるため、知らない人からスタンプやコメントが飛んでくる可能性がある。
スタンプはともかく、知らない人からDMでコメントが飛んでくるのは怖いと感じる人もいるだろう。これまで投稿に踏み出せなかった人ならなおさらだ。後にスタンプはDMに送られないようアップデートされたが、肝心のコメントについてはDM通知のままだ。
もしこれが、フリートだけでコミュニケーションが完結するような仕組みだったなら、“投稿をためらう人”でももう少し気軽に投稿しやすい機能になったかもしれない。
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