「1Byteが8bitに決まったワケ」についての長い話 まずは「バベッジの階差機関」から(2/7 ページ)
フォン・ノイマンの草稿
ENIACもそうで、サイクル速度0.2ms(つまり動作周波数5KHz)で、最大10桁の数字の演算が可能(演算に要するサイクル数は演算の桁とか種類で異なる)だったが、これを構築するのに1万7000本以上の真空管を必要としたという。なにせ1桁分の数字を記憶するのに10bitのRing Counterを利用した関係で、36本の真空管が必要だったというのだから、そりゃデカくなるわけである。
で、もっと良い方法はないか? という話であるが、ENIACの次に開発されたEDVACの設計の初期段階で、ジョン・フォン・ノイマン博士が“First draft of a report on the EDVAC”(EDVACに関する報告書の第1草稿)なる文書をリリースしている。ちなみにIEEEだと有償の配布になっているが、“First draft of a report on the EDVAC”で検索するとPDFの形であちこちから入手できる(写真3)ので、興味ある方は探してみてほしい。
この草稿の中でノイマン博士は、ENIACで採用された10進ベースの演算回路に代わり、2進ベースの回路にすることで回路がシンプルになり、かつ確実に動作しやすくなることを提案。
第1草稿では総論(1~3章)、回路を構成する基本的な素子(4~6章)、算術演算の回路の構成法(7~11章)、記憶素子(12・13章)、命令(14・15章)から構成されている。第1草稿とか言いつつも第2草稿は出なかったし、そもそもこの草稿にしてからが最終的に出版もされていない(オリジナルはペンシルバニア大に保管されており、これのコピーがさまざまな経緯で出版されている形だ)。
実は2進数を使った実装は、ENIACやこの草稿が出る以前の1942年に、アイオワ大で完成したABC(Atanasoff-Berry Computer)が採用しており、決して突飛な考えというわけでもなかった。
最終的にこの草稿で述べられた構造が、後にノイマン型アーキテクチャの原型として理解されることになる。そしてこの方式を実装するのに、2進数は非常に都合がよかった。
何しろ基本的に1桁の状態が0か1しかないから、それこそ真空管1本で可能になる。10進1桁は2進数だと4桁必要になるが、それでも真空管4本で済むわけで、圧倒的に回路をシンプルにできる。回路をシンプルにできれば、その分だけ信頼性も上がるし何なら動作周波数を上げられる(というか、当時の表現ならサイクルタイムを短縮できる)から性能も上げやすい。
コンピュータが2進数をメインにするようになったのは、このEDVAC(さらにその後に開発が始まりつつ先に稼働したEDSAC)が最初で、これに続くコンピュータもほぼ全部が2進数をベースにするようになっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
2
NEC、委託先の情報漏えいで謝罪 「セキュリティ事業を手掛ける企業として反省」
-
3
VTuber「兎田ぺこら」グッズにSNSで風評被害→示談成立 「保護者同伴で謝罪などがあったため」
-
4
JALの予約システムに不正アクセス 約9万人分の予約情報が漏えい 一部ではパスポート番号も
-
5
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
6
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
7
Anthropic、独自の“創薬活動”に着手 社員1人のバイオ企業を買収、小児難病の治療薬研究を進める
-
8
GMO不正アクセスの犯人サイト、ドメイン停止を確認
-
9
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
-
10
「対策を後回しにしたサーバが軒並み狙われている」 相次ぐ不正アクセスにラックCTOが警鐘
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR