RISCの生い立ちからRISC-Vまでの遠い道のり

ARMの誕生 ~Sinclair、BBCからNewton、Symbianへ~(1/4 ページ)

※現在Armの正しい表記は“大文字A+小文字rm”であるが、今回ご紹介する内容の時期はまだ大文字の“ARM”の時代だったので、あえて“ARM”と記述させていただいた。

 アメリカではハイパフォーマンス路線に突き進むMIPSやその競合メーカーが一斉にRISCに飛びつくが、それとは別の動きがイギリスで生まれていた。

 1978年、CPU(Cambridge Processor Unit) Ltd.という会社がイギリスのケンブリッジで創業した。厳密に言えば、そもそもSinclair ZX80とか、後にはZX Spectrumを世に送り出したクライブ・マールズ・シンクレア卿が興したSoC(Science of Cambridge:もともとはSinclair Researchだったが、これが改称された。ちなみにその後、再びSinclair Researchに改称している)という会社が母体というか、SoCに雇われたクリス・カリー氏とその友人のヘルマン・ハウザー氏がSoCを辞め、自身で興した会社がCPUである。

 ここはマイコンを作って販売する会社であり、最初に手掛けたのはNational SemiconductorのSC/MPというCPUを使ったパーソナルコンピュータのキットであったが、間もなくMOS Technologyの6502に鞍替えする。販売会社としてAcorn Computers Ltd.を立ち上げ、この6502を使ったAcorn Atomというパソコンを1980年に発表、それなりの評判を獲得したところで、BBCとの共同プロジェクトが持ち掛けられる。

photo Acorn Atom。6502の1MHzと2KB RAM/8KB ROMの構成(どちらも最大12KBまで拡張可)。100KBのFDD(フロッピーディスクドライブ)とカセットテープ用インタフェース、それと256×192(モノクロ)/128×192(2色)/64×192(4色)表示可能なビデオ出力が搭載されていた。お値段はパーツのみキットで120ポンド、完成品は170ポンド。出典はWikipedia

 BBCは1980年代初頭、後にBBC Computer Literacy Projectとして知られるようになるコンピュータの教育プロジェクトを立ち上げようとしており、これに利用する適切なマシンを欲していた。AcornというかCPUは既にAtomの後継として、2MHzの6502を搭載したProtonと呼ばれる機種を開発中であり、これをベースにしてBBC Microと呼ばれるパソコンが1981年12月に発表、1982年から販売開始される。最終的には150万台売れたとされ、少なくともイギリスにおいてはメジャーな機種になっていた。

photo BBC Microには16K Memory搭載のModel Aと32KB Memory搭載のModel Bがあった。拡張ポートは各種用意され、独自のLANやプロセッサカードの追加も可能だった(のちにMC68000のカードも提供されている)。ちなみにこれはロンドンのScience Museumで展示されていたもの
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RISCの生い立ちからRISC-Vまでの遠い道のり

IBM Power、MIPS、PA-RISC、SPARC、Alpha、Arm、そしてRISC-V。IT史に詳しい大原雄介さんが、現代のプロセッサにおいて重要なRISCプロセッサの歴史を追っていきます。

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