立ちどまるよふりむくよ
Macが生まれた年からの贈り物は、逆回転で「タイム・アフター・タイム」と囁く(2/3 ページ)
ちょっと変わったカセットテープ
10数本デジタイズした後で、このカセットテープを見つけた。
テープはTDKのSA46。ちょっと高音質なハイポジションだ。ラベルには曲名「Time After Time:Fez」とある。「Time After Time」はシンディー・ローパーの1984年のヒット曲。「Fez」はスティーリー・ダンのナンバーで、「トルコ帽もないのに」という邦題が付いているが、このFezというのはとあるものの隠語で……。まあ、それは置いておこう。
その下には「4 trx dbx off」と書いている。dbxというのはDolby B/Cと並んでカセットデッキのノイズリダクション技術として採用されていて、これはオフにしているということだ。
4 trxというのは、4トラックを意味したつもり。
カセットテープは通常ステレオの左右2トラックだ。カセットは原理上、テープ幅の半分をさらに半分ずつ左右のステレオに割り当てている。残りの半分は、カセットをひっくり返したときに使う。だから、A面とB面が存在しているわけだ。
だが、このカセットは4トラックが記録されている。A面用、B面用のテープ領域に同時に書き込むという荒技を繰り出す特殊なレコーダーによって録音したものなのだ。
録音に使ったレコーダーは今も手元にある。TEACの「TASCAM PORTA ONE」だ。
やった! これで再生……とはいかない。壊れてるので。
とりあえず、通常のステレオカセットデッキで再生して、ついでにデジタイズしておこう。
A面を聴いていると、お遊びでシンセをギター風に弾いているインストに続いて、Time After Time。妻のボーカルが入ってる。これは以前聞いた、ミックス済みのやつか。と思ったら、自分のコーラスパートがない。
A面をAudacityに取り込んだ後、カセットをひっくり返してB面を聞いてみる。逆回転のボーカルが聞こえる。右は僕の声、左は妻の声のようだ。カセットMTRはB面用のテープ領域に3番目と4番目のトラックを記録する。だからB面を通常のカセットデッキで再生すると、3、4トラックが逆回転で聞こえるというわけだ。
とりあえずA面、B面ともにオーディオデータにした。そして、B面は左右反転させて、つまり逆回転を正常に復元した。
これは妻のボーカルだ。
カセット録音ではあるけれどもちゃんと21歳の、結婚前の妻の歌声だけが入っているトラックが手に入った。いわゆるIsolated Vocals。ついでに25歳の自分の歌声トラックも入手できた。
この曲を録音したのはおそらく1984年。シンディー・ローパーのオリジナルがヒットした年のはずだ。PORTA ONEが発売されたのもこの年だった。Macintoshが世に送り出された年でもある。
そしてこれが、妻の歌声の最後のピース。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
立ちどまるよふりむくよ
過去を振り返りまくる連載。音楽、映像、コンピュータ、テクノロジーをタイムトラベルしながら新たな発見をしていく。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
5
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
6
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
7
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
8
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
-
9
有識者はGoogleやX、Meta、ドワンゴを名指しで批判……総務省、偽広告や誹謗中傷に発信・拡散前の対策求める
-
10
「痺れるほどにミスを繰り返す」Gemini 3.6 Flashは変わった? 公開から1週間、当初のおバカ回答を今検証する
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR