“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る
PCの在り方をMicrosoftとIntelが規定した時代 PC 9x/200x System Design Guideとは何だったのか(3/5 ページ)
履歴入りのWord文章をそのまま公開
ただPC 97 Hardware Design GuideのChapter 1にはこんな文章が入るはずだった(写真1)。
SIPCそのものは立ち消えになったものの、まだPCメーカーはSIPCのことを覚えている訳で、それを打ち消すためにもこうした文章が必要と考えられたのだろう。
このPC 97と、それに続くPC 98/99/2001で、Microsoft(とIntel)にとっての“PCに対する要求”がいろいろと明確になってくる。簡単に列挙すると、
- PC 97:Pentium 120MHz以上、もしくはMIPS R4x00/DEC Alpha 21064(EV4)、もしくはIBMのPowerPCベースのCPU、および16MB RAMを搭載したもの
- PC 98:Pentium MMX 200MHz(か同等以上)のプロセッサと256KBのL2キャッシュ、32MB RAMを搭載。またACPI 1.0とFast BIOS Power-up機能、BIOS Y2K Compliance、PXE prebootのサポートが必須
- PC 99:動作周波数300MHz以上のCPUと64MB RAMを搭載するほか、USBを装備する事。またISAスロットとNon PnPデバイスは排除する事を強く推奨
- PC 2001:動作周波数667MHz以上のCPUと64MBのRAMを搭載。APIC/IO-APICの搭載が必須
といった形で、毎年少しづつ「PCの能力の最低基準の引き上げ」と「レガシーデバイスの排除」が進められていく。
もちろんこうした基準に合わないPCであってもWindowsは稼働した(このあたりは、古いマシンをバッサリとサポートから排除していったApple Computerとの違いでもある)が、新規のマシンの性能底上げを図るとともにLegacy Deviceの排除によって、PCを使いやすくしようという両社の努力は、結果的にPCの底上げやMS-DOSからの脱却に大きく貢献することになった。
4月2日の記事で、Intelは1999年のIntel 810でISA Busを排除し、代わりにLPC Busを導入した話をご紹介したが、これはPC 99の要件にISA Busの撤廃がうたわれていたことが大きい。
逆に言えば、Intelとしては(可能なら)ISA Busをもっと早期に撤廃したかったのだろうが、当時まだPCIはやや高価に付いた。なので、低速で構わない周辺機器(キーボード/マウス入出力などその最たるものだ)を安価に接続でき、かつLegacyでない(つまりPlug&Play的に、OSからどんなデバイスがどう接続されているかを認識できる機能を持つ)I/Fが必要であり、これを満足するLPC Busを開発して実装するとともに、周辺機器ベンダーにこのLPC Busに対応した製品を出荷してもらえるよう働きかける必要があった。
これの準備には相応の時間が掛かったため、それが間に合う1999年まで、PC 9x System Design GuideにISAというかLegacy Device撤廃を盛り込むことは待ってもらった、というのが実情に近い。
というのはIntelの純正チップセットはそんなわけで1999年以降ISA Busは存在していなかったが、AMDの方は? というと、例えばVIAのVT82C686シリーズSouth BridgeはISA Busベースだが、これは2001年に入ってもまだ使われていた。
このあたりが全部PCIやLPCに切り替わり、ISAが無くなるのは2002年に入ってからのことで、要するに別にISAを撤廃しなくても、Windows 9x/NTの稼働には何の問題もなかった。このあたりの懐の広さがMicrosoftであるが、その分Legacy Deviceの撤廃に時間が掛かったのは致し方ないところだろう。とは言え、長期的にはLegacy Deviceを廃すべきであり、PC 9x/PC 2001のガイドラインはこのために大きな力となった。
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“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る
RISCの歴史、Apple Siliconの歩みを語ってきた大原雄介さんのコンピュータ歴史連載、テーマはズバリ「PC」だ。
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