暗号資産の“電力問題”を解決? イーサリアム最大のアップデート「The Merge」を徹底解説(3/4 ページ)
The Mergeでは何が実行されたのか
The Mergeでは実際に何が行われたのか?
The Merge=統合という言葉のとおり、行われたのは2つのブロックチェーンネットワークの統合である。
1つはこれまでPoWで維持されてきた従来のイーサリアムブロックチェーン(PoW)のネットワークで、今後は「エクセキューションレイヤー」と称されるようになる。もう1つは2020年に起動したビーコンチェーン(PoS)と呼ばれるネットワークで今後は「コンセンサスレイヤー」と称される。
The Mergeとは、混乱を避けるために独立して開発・運用されてきたこの2つのネットワークを統合し、ネットワークの整合性を保つ機能を従来のPoWイーサリアムからPoSビーコンチェーンへと移し替えることを意味する。
The Mergeのプロセス自体はこれまで段階的に実行されてきたが、その最終プロセスが2022年9月15日に完了した。その結果として、現在のイーサリアムはPoSのアルゴリズムで維持されている。
逆に言えば、それ以外の一般の人が触れられるユースケース部分での変化はほとんど生じていない。
例えば、今回のThe Merge以前と以後とでイーサリアムの処理性能は変化していない。これは冒頭で説明したとおり、The Mergeがスケーラビリティ向上のためにシャーディングを行う下準備にすぎないからだ。
同様にイーサリアムを利用する際のトランザクション手数料も変化しておらず、これらは今後実行が予定されているシャーディング以降に改善が期待されている。
一方、PoWからPoSに移行したことで大きな変化があったのはマイニングの事業環境だ。ブロック生成時に得られるマイニング報酬は90%削減され、1日あたりわずか1600ETHになった。
ビットコイン・イーサリアムの大手マイニングプール「f2pool」は、イーサリアムマイニングの終了について発表を行っているが、一方でPoSを利用したステーキングの仕組みに対応する「Ethermine」のような事業者もいる。
一般の人々にとって最も影響が大きいのはイーサリアムブロックチェーンを維持するために投じられてきた燃料消費が激減することだろう。PoSへの移行によってネットワークのエネルギー消費量は最大で99.95%削減すると予測されている。
イーサリアムの創始者であるVitalik Buterin氏はこれを受けて、「マージにより全世界の電力消費量を0.2%削減できる」と発言し、これまでに生じていた環境負荷の大きさを伺い知れる内容として話題となった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
5
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR