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水を“超高温・超高圧下”におくと「超酸」に変化 海王星などの「ダイヤモンドの雨」も説明か

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このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

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 フランスのソルボンヌ大学とイタリアの国際理論物理学センターに所属する研究者らが発表した論文「Water is a superacid at extreme thermodynamic conditions」は、極度な高温高圧下において水が「超酸」(超強酸)と呼ばれる非常に強力な酸に変化することを実証した研究報告である。超酸は硫酸よりも強い酸性を持つ。

超酸に変化した水が「ダイヤモンドの雨」に?(画像作成:編集部)

 コンピュータシミュレーションによれば、この極度な条件下で超酸性の水はメタンなどの炭化水素分子と反応して段階的に変化し、最終的にはダイヤモンド状構造に変えることができるという。

 この変化は3000K(約2727℃)の温度と、22~69GPa(1GPa=1×10^9Pa)という強烈な圧力の下で発生する。このような極端な条件は、例えば海王星や天王星などの氷惑星の内部で見られるものに近いと考えられている。

超高温・超高圧条件における研究の実験パラメータと氷惑星内部環境の関係を示したグラフ

 研究チームは密度汎関数理論と分子動力学シミュレーションを組み合わせた手法を使用してこの発見を行った。さらに、シミュレーション結果に基づいて機械学習モデルを訓練し、より効率的な計算を実現している。

 超酸環境下だと最初にメタンがプロトン化されてCH5+となり、続いて水素分子を放出して高反応性のCH3+を形成する。これが周囲の分子と反応してエタン、プロパン、ブタンといった長鎖炭化水素、最終的にはナノダイヤモンド構造を形成する。

超高温・超高圧条件下での水の超酸性によって引き起こされる3種類の反応メカニズム

 この現象のメカニズムについて、研究チームは圧力増加によってメタン分子の形がゆがみ、双極子モーメント(電気的な偏り)が生じることを突き止めた。これによってメタンが塩基として働きやすくなり、プロトンを受け取りやすくなるのである。

 この発見は天王星や海王星などの氷惑星の内部で観測される「ダイヤモンドの雨」現象の形成メカニズムを説明できる可能性がある。

Source and Image Credits: Thevenet, Thomas, et al. “Water is a superacid at extreme thermodynamic conditions.” arXiv preprint arXiv:2503.10849(2025).

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2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。

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山下裕毅
山下裕毅

2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を主宰している。

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