ちょっと昔のInnovative Tech

テトリスを3分するだけで暴飲暴食を防げる? 海外チームが2015年に研究発表

ちょっと昔のInnovative Tech:

このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。通常は新規性の高い科学論文を解説しているが、ここでは番外編として“ちょっと昔”に発表された個性的な科学論文を取り上げる。

X: @shiropen2

 英プリマス大学やオーストラリアのクイーンズランド工科大学に所属する研究者らが2015年に発表した論文「Playing Tetris decreases drug and other cravings in real world settings」は、テトリスをわずか3分間プレイすることで、アルコール、ニコチン、カフェインの摂取や、飲食などへの渇望を効果的に抑制できることを実証した研究報告だ。

テトリスを3分するだけで暴飲暴食を防げる?

 研究では31人(18~27歳)を対象に、1週間にわたって実験を行った。参加者はiPod touchを携帯し、1日7回送信されるSMSメッセージに応答して渇望の対象と強度を0から100のスケールで報告。介入群に割り当てられた15人は報告後3分間テトリスをプレイし、その後再度渇望の強度を報告した。対照群の16人は渇望の報告のみを行った。

 結果、テトリスをプレイすることで、渇望の強度は平均13ポイント減少し和らいだ。しかも、その効果は1週間を通じて一貫して維持できた。この効果は特定の物質や活動に限定されず、依存性物質(ニコチン、カフェイン、アルコール)、食べ物や飲み物、その他の渇望(例:性行為、ゲーム、運動、社会的交流)の強度を減少させた。

テトリスのプレイが1週間の渇望の強さに与える影響

 またお酒を飲んでいる状態でも、テトリスの効果は変わらなかった。ただし、お酒が入っていると実際に欲求に負けて行動してしまう確率は高くなる。

 なぜテトリスにこのような効果があるのか。研究者によると、何かを強く欲しているとき、私たちの頭の中にはその対象の鮮明なイメージが浮かんでいる。タバコの味や香り、チョコレートの甘さなど、五感に訴えるイメージが欲求を強めているのだ。

 テトリスのような視覚的な作業を行うと、脳がそちらに集中するため、欲求の対象をイメージする余裕がなくなり、結果として欲求が弱まるという仕組みがあると考えられている。

Source and Image Credits: Skorka-Brown J, Andrade J, Whalley B, May J. Playing Tetris decreases drug and other cravings in real world settings. Addict Behav. 2015 Dec;51:165-70. doi: 10.1016/j.addbeh.2015.07.020. Epub 2015 Jul 26. PMID: 26275843.

印刷する
SNSでシェア
SpecialPR

Innovative Tech

2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。

この連載の記事をもっと見る

この記事の著者

山下裕毅
山下裕毅

2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を主宰している。

関連記事

こんなメディアも見られています

ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。

メールマガジンを配信中
メールマガジンを配信中

国内外の業界動向、AIやクラウドなどの最新技術、キャリア情報など今知りたい情報をまとめてお届けします。

いますぐご登録

本日の新着記事

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia NEWS SNS

X @itmedia_newsをフォロー

インフォメーション

ITmediaNEWSをフォロー

あなたにおすすめの記事PR