小寺信良のIT大作戦
ブルーレイはなぜ、DVDより先に「オワコン化」したのか タイミングを逃し続けた“勝者”の末路(3/3 ページ)
ソフトウェアパッケージとしての存在価値
ではソフトウェアパッケージとしてはどのように推移したのか。一般社団法人 日本映像ソフト協会がまとめた、「ビデオソフトの売上金額と数量の推移(1978年~2024年)」によれば、販売用メディアとしてBlu-rayは08年頃から徐々に頭角を現し、15年にはDVDを上回るようになった。
だがセルビデオセールス全体から見れば、収益は下がり続けている。注目すべきは、24年時点でもまだDVDがそれなりにシェアを持っているというところだ。
ではレンタルはどうだろうか。こちらもBlu-rayの登場は08年だが、ほとんどBlu-rayは存在感を示せていない。そもそも07年以降は滑り台のようにセールスが下がっている。
言うまでもなく、動画視聴がメディアからネットストリーミングに変わっていったからだ。「YouTube」が日本語対応になったのが07年、米Amazonが今のプライムビデオの前身となるAmazonインスタント・ビデオを開始したのが13年だ。15年には黒船と言われた米Netflixが日本でサービスを開始している。
ここで注目すべきは、3D対応機が出てきた11年の売上だ。ハードウェアは売れたが、ソフトはそれほど目立った売上に結びついていない。つまり、キラーコンテンツがなかったということである。3D映画としての大ヒット作「アバター」の公開が09年だったが、家庭用Blu-ray 3D対応ハードウェアが登場するまで2年かかっている。ここでも微妙にタイミングを逸していることが分かる。
業務ビデオの世界に目を向けてみよう。幼稚園や学校では、卒業に合わせて卒園・卒業ビデオを学校公式の業者が制作し、販売するという事業がある。
DVDかBlu-rayが選択できるが、一般にDVDが3000~5000円程度であるのに対し、Blu-rayは5000~7000円程度になる。DVDの方が価格が安いのは、メディア代が安いこともあるだろうが、デュープマシンのコストも安いからだ。さらにDVDの方が数が出るのであれば、当然単価は下がる。
また家庭内での再生機を考えると、昔はBlu-rayプレーヤーを持っていたが、もう何年前だ? という人も多いだろう。筆者宅にあるBlu-rayプレーヤーはおそらく15年ぐらい前に買ったもので、もう7年ぐらい電源を入れていないので、今は動くかどうかも分からない。それだけBlu-rayディスクは、「手元にはないもの」になってしまった。
こうした卒園・卒業ビデオがいつまでもメディア販売なのは、おそらく保護者がデータをなくすからだと思う。すでに写真はダウンロード販売になっているが、写真はスマホ写真と一緒に管理できる。しかし動画データはサイズが大きく、しかもファイルが1つしかないので、管理しきれずなくしてしまう可能性は高い。それよりは、押し入れを整理してたら卒園DVDが出てきたという方が、まだ楽しみがある。
DVDプレーヤーも今となってはレガシー製品扱いだが、PC用のCD/DVDドライブはいまだ現役商品として売られており、2000円程度で買える。再生の可能性を考えたら、Blu-rayよりもDVDの方がまだつぶしが効くように思える。
Blu-rayは、フォーマット戦争華やかだった時代の最後の産物であり、常に成長のタイミングを逸し続けた規格だった。基幹技術はプロフォーマットの中に残ったが、それも終わろうとしている。
記録型DVDはPCの世界で「ライティングブーム」が起こったので、00年代初頭に随分攻略した人もたくさんいるだろう。一方Blu-rayにはそれがなく、PCユーザーにとってもなんとなくよそよそしいメディアだった。
DVDよりも早く終焉を迎えるのも、仕方がないように思える。
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小寺信良のIT大作戦
ベテランのテクノロジーライターである小寺信良さんがIT分野全般にわたって考察する。
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