NTT発、耳をふさがない集音器「ココエ」は“聞こえの格差”を解消できるか Auracast家庭導入の試金石にも(1/3 ページ)

 聞こえづらさによる社会的な孤立を防ぐ──NTTグループが新ブランド「cocoe(ココエ)」で挑戦するのは、そんな課題です。第一弾製品のオープンイヤー型集音器「cocoe Ear」と、テレビ用Auracastトランスミッター「cocoe Link」の発表から見えてくるのは、"聞こえ"の未来に新たな可能性を広げるものでした。

発表会場には3色の「cocoe Ear(ココエイヤー)」と、テレビ用トランスミッターの「cocoe Link(ココエリンク)、専用アプリが展示されていました

 国内の推定難聴者数は約1430万人。加齢に伴う"聞こえ"に課題を抱える人も増えていますが、補聴器の普及率は欧米の約半分である15%程度にとどまっています。この「聞こえの格差」は、単に生活の不便さだけでなく、認知症リスクの増大や社会的な孤立といった、より深刻な問題へもつながります。そこに一石を投じるのがcocoeです。

"補聴器らしくない"集音器のあたらしさ

 cocoe Earは、世界初をうたうオープンイヤー型の集音器です。最大の特徴は、集音器なのに耳をふさがないこと。従来の集音器やイヤフォンが抱えていた閉塞感や圧迫感、自分の声がこもって聞こえるといった不快感を解消するのが目的です。

cocoe Earの詳細。耳をふさがないオープンイヤー構造を実現しています

 このオープンイヤー構造により、ユーザーは自身の聴力で聞こえる周囲の音はそのままに、聞こえにくくなった高音域などをデバイスが増幅して補う「ハイブリッドな聞こえ」を体験できるのです。加齢に伴う聴力低下は高音域から始まることが多いため、理にかなったアプローチといえます。

 この自然な聞こえを支えるのが、NTTの特許技術「PSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)」。スピーカーから出た音波とは逆位相の音波を重ね合わせることで音を打ち消し、耳元だけに音のゾーンを作り出す技術。これにより、オープンイヤー型でありながら周囲への音漏れと、スピーカーの音をマイクが拾ってしまうことで発生する不快なハウリングを大幅に抑制しています。

 さらに、心臓部には高性能なチップを搭載し、音声処理の遅延(レイテンシー)を約2.5ミリ秒(0.0025秒)という極めて短い時間に抑え込んでいます。オープンイヤー型では、自分の耳で直接聞く音と、デバイスが処理した音の間に遅延があると、音が二重に聞こえるなどの違和感につながります。この超低遅延処理が、自然な音質を実現する上で重要な役割を果たしているのです。

cocoe Ear装着イメージ。メガネと干渉しにくいデザインになっています

 また、片耳わずか約10gという軽量設計に加え、落下防止用のネックストラップを付属するなど、開発段階で50代以上のユーザーから集めた「落としそうで不安」「長時間着けていると疲れる」といったリアルな声が随所に反映されています。

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この記事の著者

いしたにまさき
いしたにまさき

ブロガー、ライター、アドバイザー、プロダクトデザイナー。2011年アルファブロガー・アワード受賞。ひらくPCバッグシリーズのデザインにて、2016年グッドデザイン賞受賞。

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