いまさら聞けない「希土類元素」(レアアース) 実はそんなに“レア”じゃない元素の基本を解説(2/4 ページ)
特に、先端技術において希土類元素は欠くことのできない存在で、身近な家電製品にも希土類元素は大量に使われています。例えばスマートフォンだけで、全世界の希土類元素の消費量の8%を占めているといわれているほどです。希土類元素が無ければ、現代社会は成立しないと言っても過言ではありません。
希土類元素には、それぞれが異なる用途が設定されています。この記事で全ての用途を上げることはできませんが、例として以下のような用途が存在します。
- スカンジウム:航空機用アルミニウム合金の添加剤
- イットリウム:LEDやレーザー用の合成ガーネット(YAG)、合金の添加剤、高温超電導体、青色顔料(YInMnブルー)
- ランタン:光ファイバー用ガラス(ZBLAN)、ニッケル水素電池の陽極、水素貯蔵合金、放射線検出器のシンチレータ
- セリウム:ライターの火打石、排気ガス処理の触媒、火花が飛び散る演出用の発光源、顔料の安定化剤、核物質を取り扱う際の模擬試験用のモック
- プラセオジム:レーザー発振体の添加剤、光ファイバー増幅器、ガラスの着色剤、溶接用グラス
- ネオジム:永久磁石(ネオジム磁石)、ガラスの着色剤、レーザー発振体の添加剤、天文観測用のフィルター、溶接用グラス
- プロメチウム:蛍光塗料を自然発光させるための放射線源
- サマリウム:永久磁石(サマリウム磁石)、レーザー発振体の添加剤、さまざまな有機合成における触媒や試薬
- ユウロピウム:LEDの蛍光剤
- ガドリニウム:MRIの造影剤、中性子吸収体(原子炉の緊急停止用途)、レーザー発振体の添加剤
- テルビウム:LEDの蛍光剤、光ファイバー通信を安定させる用途、超磁歪合金(Terfenol-D)
- ジスプロシウム:ネオジム磁石の安定性向上のための添加剤、赤外線放射源、中性子吸収体(原子炉制御棒)、超磁歪合金(Terfenol-D)
- ホルミウム:医療用レーザー、分光光度計の校正
- エルビウム:光ファイバー増幅器、医療用レーザー
- ツリウム:紙幣の偽造防止技術(ユーロ紙幣)、小型の医療撮影用X線放射源
- イッテルビウム:ステンレス鋼の添加剤、光ファイバー増幅器、レーザー発振体の添加剤
- ルテチウム:石油精製用の触媒、LEDの蛍光体、ポジトロン断層法(PET)の検出器
希土類元素は水素をよく吸着し、光や磁気に対してそれぞれ独特の反応をすることが知られています。このため、最先端の研究でも希土類元素はよく登場します。例えば「光格子時計」「量子コンピュータ」のような最先端技術や、「室温超電導」「超固体」「ニュートリノ検出」のように、物質そのものの性質に迫る基礎研究にも登場します。
希土類元素の大きな課題は“採掘”
さまざまな用途がある希土類元素ですが、現状ではその採掘に関して大きな課題を抱えています。
これまで希土類元素と書いてきましたが、実際にはそれほど“レア”な元素ではありません。地殻の平均濃度で見れば、最も少ないツリウムでさえ銀の5倍、最も多いセリウムに至っては銅と同じくらいのレベルで存在します。
しかし希土類元素は、特定の鉱物に豊富に含まれて存在することが少なく、希土類元素の濃度が高い鉱石はあまりありません。これは、鉱物が脈を作るほど集中して存在する銅や銀などとは異なる性質です。このため、希土類元素の採掘では、他の元素と比べて、大量の鉱石を掘り出す必要があります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
3
GMO、不正アクセス実行犯の手がかりに懸賞金 1億5000万円規模
-
4
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
5
auメールで朝から障害 全国で利用しづらい状況に
-
6
Apple、M6搭載の14インチ「MacBook Pro」発表 AI性能向上、33万9800円から
-
7
IPO目論見書に「AIは人類の存亡リスク」「コードの9割はClaude製」 Anthropicが示した規格外の見立て
-
8
So-net、会員情報約259万件が漏えい 一部メールサービスではパスワードも流出
-
9
GMO、攻撃者の公開情報に「アクセスは絶対に控えて」 悪質な拡散者には法的措置を準備
-
10
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR