さようなら「ハモるん」──宇宙で“AI作曲”に成功した超小型人工衛星、流れ星になる
会社員や学生などによる趣味の宇宙開発団体、リーマンサット・プロジェクトは2月17日、「ハモるん」(愛称)こと超小型人工衛星「RSP-03」が大気圏に再突入した模様だと明らかにした。「宇宙の作曲家」と呼ばれたハモるんは流れ星になった。
ハモるんは、宇宙空間で取得した星空のデータから自動作曲する機能を持つ珍しい人工衛星。内蔵カメラの画像で星座を判定し、ハモるん自身の状態を示すHKデータ(電流や電圧など)と合わせて“モチーフ”を生成、それを使って米Googleが開発したオープンソースの作曲AIモデル「magenta」で曲を作り、MIDIデータとして出力する仕組み。
地上からの“作曲コマンド”を受けると、衛星に搭載されたオンボードコンピューターが作曲を実行し、完成した楽曲データのみを地上へダウンリンク(送信)する。人工衛星の中で完結する作曲機能というユニークな試みだった。
ハモるんは、2025年8月24日に米Space Xの「Falbon 9」ロケットで打ち上げられたドラゴン補給船で国際宇宙ステーション(ISS)に届けられた。9月19日に宇宙空間へ放出、軌道に投入される。
その後、ハモるんとの通信が不安定な状態になるなどしたため、作曲ミッションは思うように進まなかったようだ。25年12月に墨田区内の飲食店などで実施したイベント「隅田川のほとり、宇宙の旋律を聴く」では、当初ハモるんが宇宙で作曲した楽曲を流す予定だったが、実際には地上でハモるんの作曲プログラムを実行して生成したデモ音源を使用した。
しかし年が明けて1月下旬。公式Xアカウントによると、1月28日にテレメトリデータで作曲生成を確認し、2月2日に微弱な作曲データを示す信号を初めて受信した。5日にはオランダにあるドウィンゲロー電波天文台が、3度にわたり音楽BGMの聞こえるデジトーカ音声を受信したことで「宇宙空間での作曲」の成功が確定した。さらに作曲データの受信を試みたところ、8日にMIDI形式の楽譜データを2曲分取得することにも成功した。
しかし、2月9日の時点でハモるんの軌道平均高度は270kmを切っていた。ハモるんのような低軌道で運用されるキューブサットは大気抵抗の影響を受けやすい。運用開始から徐々に高度が下がっていき、いずれは大気圏に再突入して燃え尽きてしまう。
ハモるんも、まもなく大気圏へ再突入すると予想されたが、一方で宇宙で作曲した楽曲データを地上でダウンロードし、一般向けに公開するといったミッションも相次いでクリア。公式Xアカウントは10日、「地球に還る日を前に、続々とサクセスクライテリアを達成していく超小型人工衛星RSP-03"ハモるん」と誇らしげにポストしている。
16日時点で高度195km程度だったが、それでもビーコンが確認できるなど、ハモるんはかなり粘っていた。しかし17日の午前2時3分。公式Xアカウントは「HKビーコン、コマンド応答ともに入感ありませんでした。TLE、satnogsの観測と合わせて大気圏再突入したものと思われます」と報告した。
国際宇宙ステーションから放出されてから151日め。地球の周りを2300回近く回った。報告を受けXでは「ハモるん完走した!」「ハモるんお疲れ様でした」など、ハモるんと地上スタッフを労う声が相次いでいる。
【訂正:2026年2月18日15時53分更新 ※国際宇宙ステーションから放出されてからの期間を修正しました】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
2
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
3
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
4
本物そっくり“AI生成レシート“が経費精算の脅威に マネフォ「自力で見破るのは難しい」 企業はどう備える?
-
5
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
6
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
7
幻の「ちいかわ」コラボ第3弾皿、捨てちゃうの? くら寿司に聞いてみた
-
8
「iPhone Duo」純正ケース話題、「面白いけど高い」……1万4800円と2万4800円
-
9
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
-
10
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR