ソニーが打ち出した「AIによる成長」と“ただし書き”の中身 26年度経営方針説明会(2/2 ページ)
例えば「グランツーリスモ7」のAIエージェント「GT Sophy」は、これまでのCPU戦と異なり、ミスしたり、ブロックしたりと対人戦に近い対戦を可能にした。
3月に発表したPS5の新しい画像処理技術「PSSR(プレイステーションスペクトルスーパーレゾリューション)2.0」の4K描画は「スタジオの創造性をさらに引き出し、プレイヤーとクリエイター双方の体験を高める」という。
ゲーム開発者には、反復作業の自動化、ソフト開発の生産性向上、3Dモデリングなど、より効率的な開発環境を提供する。例えば、現在ソニーが開発しているのは、ゲームキャラクターの髪の毛を自然に動かすアニメーション生成ツール。ヘアスタイルの映像からAIが数百本もの髪の3Dモデルを生成するという。
さらに西野氏は「ゲーム制作のハードルは下がり、開発も加速する。より多くのクリエイターが市場参入できるようになる。コンテンツの量と多様性はさらに拡大し、プラットフォームの役割が重要になる」と話す。
ストアがプレイヤーの嗜好に合ったゲームをリマインドする仕組みに機械学習を採用したところ、過去3年間で7億ドルを超える増収を生み出したという。「コンテンツの推薦は、人のマニュアル作業を上回る成果を示している。次に遊ぶゲーム、イベント、サブスク、周辺機器まで最適な提案が可能になる」。
そして西野氏も、ただし書きを添えることを忘れなかった。「ゲームのビジョンやデザイン、感動はクリエイターの才能から生まれる。AIはそれを拡張するもので、置き替えるものではない」。
AIはすでにあらゆる業界へ浸透し始めているが、一方で情報漏えいリスクや責任の所在の不明瞭化など、マイナス面も多く報じられている。海外からはAI導入による人員削減といったニュースも流れてくるようになった。
ゲームやアニメを含むエンタメ業界でも、AIが生成したコンテンツが他者の権利を侵害する可能性が指摘されている他、最近ではAIを使用したこと自体がネットで批判を集めるケースも少なくない。
そんな複雑な状況において、ソニーの“ただし書き”はクリエイター重視の姿勢を示すだけでなく、責任の所在を明らかにする意味もあるだろう。あるいはAIに対する過度な期待や、AI使用に対する反感を抑える効果も狙っているのかもしれない。
いずれにしても、ソニーはAI導入の成果を今後の決算発表の場で報告する。アニメのような良い報告にできるか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
アニメを支える外国人材に“逆風” 日本在住の声優・アニメーターが抱く「不安の正体」とは
-
2
ナッツを多く食べる人、認知テストで高成績の傾向 豪州チームが1700人以上を分析
-
3
J:COMネット障害、原因は「外部からの大量アクセス」 DNSサーバに高負荷 最大約408万件に影響
-
4
ドコモSMTBネット銀で障害 「着金しない」「給料日にやめて」と悲鳴【復旧】
-
5
映画「SEKIRO」にホロリときたマンガ家、賛否両論の“原作ゲーム改変”が悪くないと思った理由とは?
-
6
イーロン・マスク氏のドキュメンタリー映画「MUSK」の予告編広告、YouTubeとMetaが一時拒否から一転承認 Xは応じず
-
7
Google、リアルタイムで表情豊かに話すAIアバター「Gemini 3.8 Live with Live Avatar」提供開始 画像1枚で独自アバターも
-
8
Microsoft、「Copilot」を刷新 「仕事のための新しいOS」とナデラCEO
-
9
パナソニックが市販カーナビ生産終了へ 30年以上の歴史に幕、スマホナビの普及など受け
-
10
顔面に電気を流すと記憶力アップ? あごにパッチ電極を貼り人間で実験、結果は……
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR