ちょっと昔のInnovative Tech
「任天堂のゲームを遊ぶ時間の長さ」はメンタルヘルスに影響するか? オックスフォード大がカジュアルゲーマー層を調査
ちょっと昔のInnovative Tech:
2019年の開始以来、多様な最新論文を取り上げている連載「Innovative Tech」。ここではその番外編として“ちょっと昔”に発表された世界中の個性的な研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2
英オックスフォード大学に所属する研究者らがRoyal Society Open Scienceで発表した論文「Perceived value of video games, but not hours played, predicts mental well-being in casual adult Nintendo players」は、 ビデオゲームのプレイ時間とメンタルヘルスの関連性について調査した2025年3月の研究報告だ。
この研究は、米国に住む成人のNintendo Switch向けゲームのプレイヤー703人(平均年齢約31歳)を対象に実施。任天堂および関連会社が発売したファーストパーティ150タイトルの客観的なプレイデータ14万時間以上と、メンタルヘルスのアンケート結果を結びつけて分析している。
なお、今回の参加者は上位10%のプレイヤーでも1日平均60分遊ぶ程度のカジュアルゲーマー層が中心だった。
データ分析の結果、過去2週間のプレイ時間の長短は、生活の満足度や気分の落ち込み(うつ症状)、その時点の感情、全体的な精神的健康状態のいずれとも、実質的に意味のある関連を示さなかった。
さらに、直近1時間から過去1年間に至るまで、調査の対象期間を変えて検証を行っても、プレイ時間とメンタルヘルスの間に意味のある関連性は見出されなかった。これは、ゲームを長くやりすぎると心に悪影響が出るという世間一般的なイメージとは異なる結果だ。
一方で、精神的な健康と明確な関連性を示したのが「ゲーミング・ライフ・フィット」と呼ばれる指標である。これは、ゲームが自分の仕事や学業、社会参加、認知的健康(集中力や思考力など)、感情調整(気分転換やストレス対処など)、日常生活といった人生の他の側面に対して、プラスに働いているか、それとも妨げになっているかを示すプレイヤー自身の主観的な評価を指す。
調査によれば、ゲームが自分の人生にとって有益であると感じているプレイヤーは、実際のプレイ時間が長くても短くても、より高いウェルビーイング(心身の健康と幸福)を報告する傾向があった。
Source and Image Credits: Nick Ballou, Matti Vuorre, Thomas Hakman, Kristoffer Magnusson, Andrew K. Przybylski; Perceived value of video games, but not hours played, predicts mental well-being in casual adult Nintendo players. R Soc Open Sci. 1 March 2025; 12 (3): 241174. https://doi.org/10.1098/rsos.241174
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Innovative Tech
2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。
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