Innovative Tech
筋トレの健康効果、週○分で頭打ち 適正時間は? 米ハーバード大などが14万人を調査
Innovative Tech:
2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2
米ハーバード大学などに所属する研究者らが医学分野の学術誌British Journal of Sports Medicineで発表した論文「Long-term resistance training with all-cause and cause-specific mortality: assessing dose-response and joint associations with aerobic physical activity」は、筋力トレーニングの最適な実施時間や、有酸素運動との組み合わせによる死亡リスクの低減効果を明らかにした研究報告だ。
有酸素運動が健康に良いことは広く知られているが、筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)単独の効果や、有酸素運動と組み合わせた場合の長期的な影響については十分に解明されていなかった。
今回、14万7374人を最大30年間にわたって追跡した米国の大規模な調査により、その詳細な関係が明らかになった。
調査の結果、筋力トレーニングには健康効果を最大化するための適度な時間があることが判明した。筋力トレーニングを全く行わない人と比較して、週に合計90~119分の筋力トレーニングを行う人は、全体の死亡リスクが13%低下した。
死因別に見ると、心臓病などの心血管疾患による死亡リスクは19%、認知症などの神経疾患による死亡リスクは27%低下している。ただし、週に120分(2時間)以上実施しても効果は頭打ちとなり、それ以上のリスク低下は認められなかった。
一方で、がんによる死亡リスクについてはやや異なる傾向が確認された。がんの死亡リスクは、週1~59分という比較的短い時間の筋力トレーニングを行った場合にのみ9~12%の低下がみられ、それ以上長く実施しても死亡リスクの低減効果は確認されなかった。
また、有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせについても知見が得られている。ほとんど運動していない人と比べた場合、筋力トレーニングのみを実施する人でも死亡リスクは7~11%低下したが、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動のみを十分に行った場合は、26~43%のリスク低下がみられた。このことから、単独で行う場合は有酸素運動の方が死亡リスクを下げる効果が大きいことがわかった。
ベストなのは有酸素運動と筋力トレーニングの両方を行うこと。死亡リスクが低かったグループの一例が、有酸素運動を週30~45メッツ・時(目安として早歩きで週7~11時間、ジョギングで週4~6時間ほど)こなしつつ、筋トレを週60~119分行う人たちで、運動量が不十分な人と比べて死亡リスクが約45%低かった。
ただし、すでに極めて高いレベルの有酸素運動をこなしている人に限っては、それだけで十分とし、筋力トレーニングを追加してもさらなる死亡リスクの低下はみられなかった。
Source and Image Credits: Zhang Y, Lee DH, Rezende LFM, et alLong-term resistance training with all-cause and cause-specific mortality: assessing dose-response and joint associations with aerobic physical activityBritish Journal of Sports Medicine 2026;60:874-883.
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Innovative Tech
2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
4
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
7
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
8
「痺れるほどにミスを繰り返す」Gemini 3.6 Flashは変わった? 公開から1週間、当初のおバカ回答を今検証する
-
9
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
10
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR