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ランサムで売上95%減──アスクルの“システム再構築”支えた生成AI活用 復旧までの3.5カ月、社長が語る舞台裏(2/2 ページ)
品ぞろえ開発は半減、供給危機の方針づくりは「2週間→3時間」
最初に取り組んだのは、品ぞろえ管理業務の作り直しだ。新商品の掲載や季節・業種に応じた品ぞろえは売上を生む重要なファクターでありながら、長年、1人の担当者が社内外の窓口を兼ね、複数のツールを使い分けて捌いていたという。そのため、属人化と処理の遅さが課題になっていた。
アスクルはこうした業務を一元化するシステムを、Kiroを使ってゼロから開発。結果、開発期間は従来見積もりの半分に。商品の掲載スピードも従来比で倍にできたという。
2つ目は、復旧後に整えたAI-DLCの仕組みを別の局面へ応用した事例だ。2~3月ごろ、ホルムズ海峡の緊張に伴うナフサ供給への不安が広がると、どの商品が不足し、どの業種の利用者にどれだけの需要が生じるかを早期に見積もる作業にKiroを使った。
従来は需要分析や世界情勢の予測を直列で進め、工程の合間に人のレビューや手戻りが入っていた。これをAIで並行処理し、各工程を連携する仕様にしたことで、供給元との商談開始に向けた方針づくりが従来の2週間から3時間に縮められたという。吉岡社長CEOは「指示を出してから10日はかかると思っていた。夕方に出てきて驚いた」と振り返る。
この方針づくりが、政府との交渉も後押ししたという。吉岡社長CEOによると、厚生労働省が備蓄していた医療用手袋の供給を担うことになったほか、政府の働きかけを受けてシンナーの直接供給も手掛けることになった。
「かつてない強力な相棒」経営から見たAI-DLC
吉岡社長CEOは、AI-DLCを生かすために欠かせなかった点として、(1)目的とビジョンの共有と本丸に挑む覚悟、(2)ビジネス側とエンジニアの一体化と重要案件へのエース投入、(3)目標を共有したうえでの徹底的な権限移譲、(4)エンジニアが安心してAIを試せる環境への投資の──を挙げた。
その上で「AI-DLCは経営にとって、かつてない強力な相棒だ。何のための相棒かといえば、究極的には自分たちの企業の理念をきちんと果たしていくこと。これに尽きる」と語り、講演を締めくくった。
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