ボクはITmedia ニュースの2年目記者・カタフチ。日々いろいろなIT製品/サービスに関するニュースを書いているのだが、その中でも特に悩むのがクラウドサービスだ。日々行われているアップデートに「あれっ、いつの間にかこんな新機能が追加されてる!?」と驚いたことは一度や二度どころではない。
そんなボクが今回書くことになって困っているのが、アドビシステムズのクリエイティブツール「Adobe Creative Cloud」に関する記事だ。さまざまな機能がありすぎて何を書けばいいか分からない……ということで、当社のベテランクリエイター・イワタさんに「どこが注目なんですか?」と教えてもらいにいったのだった。ところが……
ボク イワタさん、Creative Cloudの記事を書きたいんですが、機能が多すぎてどこが注目ポイントなのかいまいち分からないんです。教えてくれませんか?
イワタさん そんなこと言われたって困るよー。
ボク なんでですか! いじわるしないで教えてくださいよ。
イワタさん いやいや、そうじゃなくて。そもそも僕、Creative Cloudって全く使ったことがないんだよね。10年ぐらい前からずっとAdobe Creative Suite 3(CS3)だし。
ボク な、なんだってー! ……じゃあ仕方ないですね。それなら、最近中途入社したばかりのカワグチさんに聞いてみますよ。カワグチさん、Creative Cloudについて教えてくれませんか?
カワグチさん ごめんね、私もCS3なの……。
ボク ど、どうなってるんだこの会社はー! じゃあイシカワさん教えてくだ……。
イシカワさん いいからもう諦めて、席に戻りなよ(笑)
当社のクリエイターの大多数が最新ツールのCreative Cloudを使っていないことに驚いたボクは、諦めてアドビシステムズに直接相談してみることに。すると、返ってきたのは意外な提案だった。
「それなら、アイティメディアさんでしばらくCreative Cloudを試しに使ってみませんか? そのついでに新機能についても詳しくお教えしますよ」(アドビの人)
「本当ですか? ぜひ! うちのCS3使いのクリエイターたちを集めてきます!」(ボク)
……後日
講師として来てくれたのは、アドビシステムズの吉崎誠多さん(市場開発部 シニアプロダクトスペシャリスト)。講義を受けるのは、当社の「CS3な人々」こと、UI/UXストラテジストを務めているイワタさん(主に使っているのはDreamweaver)と、Webデザイナーのカワグチさん(主に使っているのはIllustratorとPhotoshop)だ。
まずは吉崎さんが、Creative Cloudの概要についてざっと紹介。2012年に登場したCreative Cloudはアップデートを重ね、この6月にも主要製品の機能が大幅に強化されたばかりだという。バージョン別のシェアは公開されていないが、ある外部調査によると、国内の印刷業界では60%以上の企業でCreative Cloudを導入済みとのことだ。
吉崎さんによると、CSシリーズと比較したCreative Cloudのメリットは「アプリケーションが増え、かつ使いやすくなっていること」だそうだ。「CS6のMaster Collectionでは14種のデスクトップアプリがバンドルされていましたが、価格は30万円強でした。一方、Creative Cloudなら、倍以上のデスクトップアプリに加えてモバイルアプリやさまざまなサービスを、サブスクリプション方式で気軽に使い始めることができるのです」(吉崎さん)
Creative Cloudは常に最新版の機能を使えることもあって、個別のアプリも強化されている。例えばPhotoshopは、作成したイメージの書き出し機能がパワーアップ。より高い圧縮率で美しく保存できるようになっているという。
Illustratorユーザーのカワグチさんが特にびっくりしたのが、Creative Cloudで追加された曲線ツールやシェイパーツールだ。アンカーポイントやハンドル操作なしで美しい曲線を引いてくれたり、ジェスチャーでシェイプを描いたり合体や型抜きしたり――といったことが簡単にできるようになっている点を見て、「うわっ、私の今までの努力、ムダになりすぎ……?」とカワグチさんは両手で顔を覆う。
カワグチさんとイワタさんが「これはいいなあ」と声をそろえたのは、IllustratorでもCC2015以降で実装された「自動保存」機能だ。いずれのアプリも、不意にPCがフリーズしてしまったりした時のために、作業時点までの内容を自動保存。「普段からPCがよく落ちるというわけではありませんが、万一の時に備えて安心できますね」とイワタさんは話す。
このほかクラウドサービスならではのポイントとして、一定の変わらない金額でさまざまなアプリを使えるというメリットもある。ページレイアウトアプリのInDesignや動画作成ツールのPremiere Proの機能などを紹介されると、「うちのメディアでも何かに使えるかも……」(カワグチさん)と話していた。
一通りの説明を終え、Creative Cloudのトライアルアカウントを受け取った2人。果たして仕事の中で便利に使いこなすことはできるだろうか?
ボク イワタさん、カワグチさん、アカウントを受け取ってから2週間たちましたが、実際に使ってみていかがでしたか?
イワタさん 自分が使ってみて一番便利と思ったのが、Dreamweaverとバージョン管理ツールの「Apache Subversion」(SVN)を連携させられるようになったことかな。CS3の場合は、Dreamweaverでコードを書いてから別途バージョン管理ツールを使ってファイルの更新履歴を保存していたけれど、今回、1つのソフト内で完結できるようになったのはすごく便利だと感じたね。
自分ももともとデザイナーとして入社したけれど、最近はデザイナーといってもグラフィック部分を担当するだけの職種ではなくなってきていて、サーバーサイドの知識を覚えざるを得なくなっているんだよね。自分でコマンドを打ったりするのが普通になってきている中で、使うツールが増えていくたびPCの挙動が重くなってしまう。Creative Cloudは、そうした人にとってもメリットがあるんじゃないかな。
ボク なるほど……デザイナーと一口に言ってもやることが多様になっているんですね。カワグチさんはグラフィック系の業務が中心だと聞きましたが、Creative Cloudを使ってみていかがでしたか?
カワグチさん Photoshopを使ってみてすごく驚いたのが、『スタンプツール』が進化していることです。
このスタンプツールは昔からPhotoshopに搭載されている機能で、画像のある部分をコピー&ペーストできるものです。写真などに写り込んでしまった余分な要素(飛行機や電線など)を消す時に重宝しているのですが、これがCreative Cloudですごく進化しているなあと感じました。
例えば空の一部に余分なものが写ってしまっている場合、今までなら空の別の部分をコピー&ペーストしてから周囲の色となじませる必要がありました。一方、Creative Cloudなら、スタンプツール機能を使うだけでソフト側で自動で周囲の色となじませてくれるんです。これには「すごい! あっという間に顔の“ほうれい線”とか消せちゃうじゃん」と興奮してしまいました(笑)。
なんというか、自分がやりたいことをソフト側で先回りしてうまく調整してくれているような。そんな便利さをさまざまなところで感じましたね。
ボク (実際に見せてもらって)おお、これはすごいですね! 確かにほうれい線、消せちゃいますね(笑)。Illustratorは使ってみてどうでしたか?
カワグチさん Illustratorもすごいですよ。特に、テキストを配置してから1つずつ動かしたり、言葉を変更したり、フォントや大きさを調整できる機能には驚きました。
イワタさん そうそう。これは便利だよね。これまでのIllustratorだと、テキストはアウトライン化(図形として変換)してからじゃないと文字に効果をつけたりできなかったから、完成データを納品してから修正が入ったときに備えてアウトライン化する前のオリジナルデータも持っておく必要があった。でもCreative Cloudならアウトライン化せずにいろいろとテキスト情報を変更できるから、そんな心配をする必要もなくなったよ。
ボク そうなんですね。そんなことを知らず、テキスト入りのバナー作成を依頼して完成版を納品されてから「この文字だけちょっと動かしてください」とか「1文字だけ変えたいんです!」とか言っちゃっていました……。チョチョイっと直すだけだから、カンタンだとばかり……。
カワグチさん その場合はゼロからやり直しでしたね……。
ボク 「こちらの苦労も知らずふざけるな!」みたいな感じだったんですね……。本当にすみませんでした。
カワグチさん&イワタさん (笑)
ボク でもボクみたいな記者や編集者だけじゃなくて、例えば企画職の人も、バナーを見てから「少しだけ変更したい」ってことってよくありますよね。
カワグチさん そうそう。それは仕方ないと思うんです。なので、そういった要望に簡単に応えられるという点も、Creative Cloudはよくできているなと感じましたね。
イワタさん あと、これは僕の個人的な事情かもしれないけれど、会社に支給されているのがCS3のWindows版なのに、使っているPCはMacで。だからMac上でWindowsの仮想化環境を立ち上げてCS3を使っていたんだけど、フルパフォーマンスを出せていない気がしていたんだよ。
Creative Cloudなら共通のライセンスでWindowsとMacで使えるから、そんな心配もなくなったね。Macでネイティブに動くのは、パフォーマンスだけではなくて心理的にもありがたいな。なによりMacと仮想環境上のWindowsを行ったり来たりしなくていい。
ボク なるほど。他にアイティメディアの仕事などで生かせそうなことはありましたか?
カワグチさん 今回は2週間のトライアルだったので全ての機能を使いこなすことはできませんでしたが、InDesignなどは便利そうだなと感じました。最近、編集部から「電子書籍を作りたい」といった相談をいただくことも増えているので、Creative Cloudなら追加コストをかけずにこうしたツールを使えるのはよさそうですね。
あと、1つのライセンスで2台までのPCで使うことができるので、自宅のPCでやったことのないアプリの練習もできるかもしれません。例えば急に記事向けの動画を編集してと言われたときに備えて、Premiere Proをなんとなく練習してみたり……。そんな風にスキルを身につけておけば、今後の仕事でも生かせるかもと思いました。
このように、アイティメディアの現役クリエイターたちが実際に使ってみて多くのメリットを感じたCreative Cloud。イワタさんもカワグチさんも「このトライアルもう少し長くできないの?」と、もっともっと使いこなしてみたいと話していたのが印象的だった。
アドビシステムズが提供しているものは年額制のサブスクリプションだが、もっと気軽に使い始めたいという企業にオススメなのが、同社のパートナーである大塚商会が提供している「たよれーる Adobe Creative Cloud」だ。これはCreativeCloudの機能やメリットはそのままに、法人決済による月額支払いが可能というメリットがある。公式サイトでは、Creative Suite 4以降から最新のCreative Cloudまでの機能差分リストや、Acrobatの導入効果に関するユーザーの生の声、インタビュー、資料集なども公開されている。
古いバージョンのCreative Suiteを使うのが当たり前になってしまっている――そんなクリエイターを抱える企業こそ、たよれーる Adobe Creative Cloudを使って「最新のクリエイティブ環境」を手に入れてみてほしい。ウチの会社もこれを機に導入を検討してくれないかな……?
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ニュース編集部/掲載内容有効期限:2016年8月3日