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» 2020年05月28日 10時00分 公開

“お客さま”をもっと知る データ分析で「喜ばれる」提案を実現へ 沖縄銀行情シスの挑戦

[PR/ITmedia]
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 銀行内に眠る“金脈”を生かす──銀行をはじめとする金融機関のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で、重要なキーワードの1つと目されているのが「データの活用」だ。多くの銀行は、行内に構造化・非構造化された膨大なデジタルデータを蓄積している。だが、そうしたデータを生かしきれていない場合も少なくない。

photo 沖縄県那覇市にある沖縄銀行(おきぎん)の本店

 沖縄県那覇市に本店がある“おきぎん”こと、沖縄銀行も例外ではなかった。「お客さまの痒いところに手が届いていなかったかもしれない」と、同行の永田真氏(執行役員 システム部長)は振り返る。

 これまで同行は、営業職員の経験と勘によってニーズをくみ取り、金融商品を提供してきた。しかし永田氏は「喜ばれるに違いないと自信をもっておすすめした提案に関心を示してもらえず、逆に対象外だと思い込んでいたお客さまから相談をいただくような事例も見受けられた」と打ち明ける。

 例えば、1人だけの預金残高を見て金融商品を提案しても、空振りに終わることもあったという。その人の状況、家族構成なども正確に分かれば、いざというときに備え、手元に流動的な資金を残しておく必要があったり、投資信託で運用したほうが賢明だったり──といった判断もでき、本当に望まれているモノを提案できたかもしれない。

 こうしたミスマッチな状況を打破するには何が足りず、何が必要なのか。そんな課題に対し、出した答えが膨大なデータの活用だった。“お客さまの要望”を正しく知るため、クラウド上にデータ分析基盤を構築した、沖縄銀行システム部職員たちの奮闘ぶりを追った。

スマホアプリが「銀行の生き残りにつながる」

 データ活用のため、沖縄銀行は“土台”を整えてきた。その1つは、スマートフォンアプリによる顧客接点の拡大だ。2019年5月、スマートフォンの画面上で預金・借入の状況確認や、送金ができるアプリ「おきぎんSmart」をリリース。これ以外にも、キャッシュレス決済アプリ「OKI Pay」、口座残高・明細を確認できる「Wallet+」を用意するなど、モバイル戦略に力を入れている。

photo 沖縄銀行がリリースした「おきぎんSmart」

 沖縄銀行システム部の高宮修二氏(システム戦略開発グループ 上席調査役)は「今後、スマホアプリは重要な顧客接点として成長が期待できる。こうした非対面のチャンネルを広げていくことが、銀行の生き残りにつながる」と並々ならぬ期待をかける。

 アプリの利用率を見ると「平日では約1割、給料日などの特異日にもなると約3割弱のお客さまがアプリを利用し、資金移動や残高の確認を行っていただいている。月に1回アプリを起動しているユーザーも含めると、約70%がアプリを通じて沖縄銀行に接点を持っていただいている」という。高宮氏は「1カ月に数回程度利用されるATMや窓口での対面接客と比較すると、このアプリによる接点機会の頻度は目を見張る」と驚きを隠さない。

 このようにアプリによって顧客と接触する機会を増やし、収集したデータを分析して顧客の状況を正しく知れば、お客さまのニーズにあった商品をより良いタイミングで提案できるのではないか──と、高宮氏らは考えている。具体的には年代などの属性、入出金履歴などを分析し、グラフなどで可視化。データから見える傾向からローン商品をレコメンデーションとしてアプリに通知するという計画だ。

 沖縄銀行システム部の砂川綾乃氏(システム戦略開発グループ主任)は「(入出金履歴などの情報が)マーケティング施策などで大きな可能性を秘めていることは、以前から理解していた。しかしデータ件数が多い、かつ多くのデータ加工処理が想定されていたので、オンプレミス環境下ではうまく活用できていなかった」と指摘する。

 データを生かせていないという危機感は、システム部門だけでなく、ビジネス部門以下、銀行内でも共有されていたという。従来の営業手法に限界を感じていた中、クラウドサービス「Microsoft Azure」上にデータ分析基盤を構築し、行内に眠るデータ、スマホアプリという接点で得られた情報を読み解くという、挑戦が始まった瞬間だった。

「数字の羅列では見えなかったもの」が見える

 データ分析基盤の構築は、驚異的なスピードで進んだ。開発をサポートした株式会社ジールの永田亮磨氏(SIサービス第三本部 ビジネスアナリティクスプラットフォーム事業部シニアコンサルタント)は「通常なら3〜4カ月ほど期間を設定し、取り組みを進める規模の案件だが、2019年11月28、29日、12月16、17日の4日間、実際に立ち会ってワークショップを実施しただけで、分析解析のシナリオ検証まで完了した」と話す。

 同じく取り組みに協力した、日本マイクロソフトの武田雅生氏(Azure Data&AI Technology Solutions Professional)も「沖縄銀行のメンバーのスキルが高く、効率よく進んだ」と舌を巻く。

photo ワークショップの様子

 うまくいった背景には、沖縄銀行のメンバーの日頃の努力もあった。同行の高宮氏は「長くシステム開発に携わってきたが、最近では『クラウドネイティブ』という言葉が登場したり、スマホアプリがリリースされるスピード感、使いやすさが求められたりと、要求のハードルが高くなっている」と話す。

 高宮氏らは「要求があってから勉強をしていては遅い」と考え、早くからAI、クラウドなどの技術に触れてきた。「以前、クラウド導入のメリットを見極めるために、行内向けのアプリケーションを開発した経験があった。AzureのAI機能『Azure Cognitive Services』を使い、営業職員が業務日報を音声入力できるアプリを試験的に開発した」という。

 これだけではない。Azureとデータ可視化ツール「Power BI」を使い、顧客向けのアンケートシステムを構築した経験もあった。同じくシステム部の砂川氏は「そのときは、約2カ月という短期間で運用を始められた。その過程でAzureやPower BIに対する一定程度のスキルを身に付けられた」と明かす。そうした素地があり、今回のデータ分析基盤もスピード開発に至ったのだ。

 一方、そうしたメンバーの熱い行動の裏には、それ相応の苦悶(くもん)もあった。「データ分析といっても、始めた当初は、自分の中でアウトプットに対するイメージを構築できず悩んだ。データを活用し、有用な分析結果を得たいという思いばかりが先行し過ぎていた」と高宮氏は振り返る。手探り状態でのスタートだったが「このデータセットを分析すれば、どういう結果が出るはずだ」という仮説を立てながら、試行錯誤を繰り返し、ゴールをイメージしていったという。

 そのために、ワークショップの段階でダミーデータではなく、機微な情報をマスクした実際の顧客データを用いて、分析シナリオを構築した。実データをデータウェアハウスに格納し、セキュリティを確保した閉域環境の中で、Power BIを使いながら分析することで、アウトプットのイメージを膨らませていったそうだ。砂川氏は「結果が出るごとに、数字だけの羅列では見えなかったものが具現化されてくる、データ分析の醍醐味を感じた」と顔を綻ばせる。

「システムと全てのデータは、お客さまのためにある」

 高宮氏は「Azureデータ分析基盤で高速に集計してPower BIで可視化した情報を、営業部門にプレゼンしたところ『お客さまの見えなかった状況が分かる』と大反響だった。早速、昨年の営業施策の実績データを地図上にプロットしたいという依頼も受けている」と上々の滑り出しに破顔する。

photo Power BIの分析画面。マーケティング施策がアプリの利用状況にどのような影響を与えたか、定量的な効果を測定できるようになったという
photo アプリ利用者の属性や状況から融資対象者の抽出を試みている

 データ分析基盤の本格稼働を控え、システム部のメンバーたちは、分析のスキル磨きに余念がない。今後は、可視化した情報を元に、ビジネス部門と密接なコミュニケーションを積み重ね、営業の現場に落とし込むフェーズに持ち込むという。高宮氏は「われわれはデータを作る・見ることは得意だが、データを使ってビジネスを発想することは、まだ経験が足りない。データアナリストのような人材の育成にも取り組みたい」と抱負を語った。

 沖縄銀行のWebサイトには「“おきぎん”は『地域に密着し、地域に貢献する』ことを経営理念として掲げ、地域社会の発展に寄与することを大きな使命とし、地域社会と共に成長してきました」とある。地域経済の活性化が叫ばれる今、地元の事業者や個人とのつながりを密に持つ地方銀行の役割は大切だ。

 同行の永田氏(執行役員部長)は「システムのためのシステムではいけない。システムと全てのデータは、お客さまのためにあるという理念を今以上に強く意識しながら、人々の生活や経済活動に寄り添うために、デジタル化の道をまい進したい」と語った。

(後編)“爆速で開発”沖縄銀行のデータ分析基盤 1億件のデータに挑む

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 スマートフォンアプリから得られる顧客情報、口座情報などを読み解くため、沖縄銀行はMicrosoft Azure上に顧客データ分析基盤を構築した。取り組みは2019年10月に発足し、2〜3カ月程度で構築が完了。そのうち4日間(ワークショップ)で、大部分の環境構築、分析シナリオの検証を終えた。

 高いセキュリティのレベルを確保しながら“爆速”で開発できた背景には、沖縄銀行のメンバーたちの努力に加え、技術的なポイントもあった。同行のチームに成功の要因を聞いた。


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